「ヴォイニッチ手稿」は言語ではなく暗号だった? ジャーナリストが編み出した新アルゴリズムが示す驚くべき類似性

1912年に発見されるもいまだに解読されていない謎の古文書である「ヴォイニッチ手稿」のテキストは言語ではなく暗号だったのか――。新たな研究ではこの解読不可能な文書は暗号を用いて作成された可能性があることが示唆されている。
■「ヴォイニッチ手稿」は暗号だった!?
「ヴォイニッチ手稿」は、15世紀初頭に未知の文字で書かれたテキストで、人物、動物 (ドラゴンを含む)、植物、城、占星術のシンボルなどの不可解な挿絵が多数添えられた「世界で最も謎めいた写本」である。
「ヴォイニッチ手稿」は誰が書いたのか、何が書かれているのか、そしてなぜ存在するのか、誰にもわかっていない。文字は単なる意味不明な描写だと主張する者もいれば、独自の未知の言語であると考える者もいる。またアルゴリズムを用いてテキストを暗号化して作成されたという説も有力だが現状では真相は不明だ。

謎に包まれたこの写本は何世紀にもわたって多大な関心を集めてきたが、その魅力にとりつかれた一人が、科学ジャーナリストのマイケル・グレシュコ氏だ。彼は今年11月、このテーマに関する査読付き論文を暗号学術誌「Cryptologia」で発表した。
科学メディア「IFLScience」の取材に対し、グレシュコ氏はこのプロジェクトはCOVID-19によるロックダウン中の退屈を解消する手段としてささやかに始まったと語る。
あらためて「ヴォイニッチ手稿」を驚きをもって眺めていたところ、グレシュコ氏はマイクロソフトのエクセルをいじりはじめ、ヴォイニッチ手稿の文字、ヴォイニッチ文字を模倣できる暗号を編み出せないか試行錯誤したという。
「論文を発表することが目的ではなく、ただ自分自身に満足感を与え、気を紛らわせる数学パズルを課すことが目的だったのです」とグレシュコ氏は説明する。

このアイデアを探求するために、彼は「ナイベ暗号(Naibbe cipher)」と呼ぶ暗号システムを開発した。これはラテン語またはイタリア語のテキストを連続した文字列に分解し、それを1文字と2文字の塊の混合にランダムにリズムよく再配置するアルゴリズムであるということだ。
ナイベ暗号では、1文字の塊はすべて完全なヴォイニッチ文字の「単語」になる。2文字の塊も「単語」になるが、最初の文字はヴォイニッチ文字の「接頭辞」になり、2番目の文字は「接尾辞」になる。
つまるところナイベ暗号はヴォイニッチ手稿と驚くほど類似したテキストを生成できるというのである。
この手稿の文字が研究者を困惑させてきた特異な統計パターンを示していることを考えると、これは特に注目に値することであるという。グレシュコ氏はこれは必ずしもヴォイニッチ手稿が暗号文であることを意味するわけではないが、そのようなシステムによって非常に似たものが生成され得ることを示しており、検討する価値のあるアイデアだと主張している。

「ヴォイニッチ手稿」のテキストは未知の言語ではなく暗号文だったということなのだろうか。
グレシュコ氏はの新たな研究は、ほかの研究者により先鋭的なツールを提供する可能性はあるが、この不可解な手稿は依然として謎に包まれたままである。
「もし意味不明な文字だと考えるなら、指摘できる証拠は山ほどある。暗号化されたメッセージである、あるいは独自の言語であると考えるのも同様です」とグレシュコ氏は結論づけている。
「ヴォイニッチ手稿の持つ曖昧さこそが、この手稿を神秘的で、そして興味深いものにしているのです」(グレシュコ氏)
「ヴォイニッチ手稿」のテキストが暗号システムであったとしても、その内容については依然としてまったく見当がつかない。「ヴォイニッチ手稿」はこの先もまだしばらくは好奇心旺盛な人々を悩ませる難題として君臨し続けるのだろう。
参考:「IFLScience」ほか
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