【衝撃】宇宙に“レモン型の惑星”があった!? 銀河系で最も奇妙な惑星を発見

An illustration of PSR J2322-2650b. (NASA, ESA, CSA, Ralf Crawford/STScI)

「いったいこれは何なんだ?」――天文学者たちを絶句させたのは、天の川銀河で発見されたある系外惑星のデータだった。

「PSR J2322-2650b」と名付けられたこの天体は、科学者たちがこれまでに見たこともないほど奇妙な惑星だ。

 この惑星は、信じられないほどの超高速で自転する星「中性子星(パルサー)」のすぐ近くを回る巨大ガス惑星(ホット・ジュピター)だ。しかし、主星であるパルサーの重力があまりにも強烈なため、惑星自体が引っ張られて変形し、まるでレモンのような楕円形になってしまっているのである。

逆回転する大気と炭素の蒸気

 ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測により、この惑星のさらなる異常性が明らかになった。

 まず、大気が惑星の自転とは逆方向に猛スピードで回転している。そして、その成分も常識外れだ。通常、系外惑星の大気には水やメタンが含まれるが、ここでは炭素の蒸気が支配的だった。さらに驚くべきことに、内部はヘリウムで満たされており、下層大気ではダイヤモンドの雨が降っている可能性があるという。

 表面温度は約1900ケルビン(摂氏1630度)にも達する。これは、恒星からの強烈なガンマ線照射によるものだ。

元は「星」だった? 惑星進化の謎

 なぜこのような奇妙な惑星が生まれたのか。シカゴ大学の天文学者マイケル・チャン氏は、「既知の惑星形成メカニズムでは説明がつかない」と語る。

 研究チームが導き出した仮説は、この惑星がもともとは「惑星ではなかった」というものだ。彼らは、この天体がかつてはヘリウム星であり、パートナーであるパルサーに外層を徐々に剥ぎ取られ、現在の姿になったのではないかと推測している。これは「ブラックウィドウ(クロゴケグモ)」パルサーと呼ばれる現象の一種で、共食いされた星の成れの果てというわけだ。

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惑星と恒星の境界線

 もはや核融合を起こせる質量を持たないこの天体は、恒星とも褐色矮星とも呼べない存在となっている。惑星と恒星の境界を曖昧にするこの発見は、宇宙には私たちの想像を超える多様な世界が存在することを改めて教えてくれた。

 スタンフォード大学のロジャー・ロマニ氏は、「全てを知らないというのは素晴らしいことです」と目を輝かせる。そして、「この奇妙な大気についてもっと知るのが楽しみです。追いかけるべきパズルがあるのは最高ですから」と、未知への探求心を露わにした。

 宇宙の常識を覆すレモン型の惑星。その歪んだ姿は、私たちがまだ宇宙のほんの一部しか理解していないことをユーモラスかつ強烈に突きつけているのかもしれない。未知なる世界への探求は、まだ始まったばかりのようだ。

参考:ScienceAlert、ほか

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