“ワームホール”実在か? 0.1秒の「謎の重力波」は“パラレルワールド”から来たのか

宇宙に響きわたった異例の重力波の発生源は――。新たな研究によるとその重力波はパラレルワールドから放たれたシグナルである可能性があるという。ほんの一瞬、異世界に通じるワームホールが開いたというのだ。
■謎の重力波の発生源はパラレルワールド!?
地鳴りや海鳴り、雷鳴など、自然界ではなざまな音が奏でられているが、音が伝わらない宇宙空間では電磁波やプラズマ派、重力波などが飛び交っている。
2019年5月21日に重力波検出器「Advanced LIGO」と「Advanced Virgo」が共に観測した重力波はこれまでにないパターンを持つわずか0.1秒に満たないもので「GW190521」と名付けられた。
通常、このような重力波は2つのブラックホールの衝突合体イベントで発生するものだと考えられているが、「GW190521」はこれまで観測された同様の重力波とはかなり異なっていた。
※2つのブラックホールが衝突する音
この謎の重力波は、驚くべきことに実はパラレルワールドから発せられたシグナルがワームホールを伝って届けられた可能性を報告する新たな研究が発表されている。
中国科学院大学のチー・ライ(Qi Lai)博士が率いる研究チームが、今年9月に「arXiv」で発表したプレプリント論文の中で、「GW190521」はワームホールの崩壊の“エコー(反響)”である可能性があると記している。
2015年9月に初めて観測されて以来、ブラックホールの合体で起きる重力波は十数回観測されているのだが、数秒は続くはずの重力波の持続時間は「GW190521」ではわずか約0.1秒しかない例外的な鋭い亀裂音として記録された。
そこで中国の研究チームは、この現象がパラレルワールドでのブラックホールの衝突の反響であり、それがほんの束の間出現したワームホールを通じて出現したものである可能性を指摘したのである。そもそもワームホールが開いている時間はきわめて短いため、重力波が0.1秒しか続かなかった理由を説明できるという。
並行して存在する宇宙であるパラレルワールドに通じているとされるワームホールを研究チームはどう定義しているのか。
「ワームホールは、2つの別々の宇宙、または1つの宇宙内の2つの離れた領域をスロート(喉)でつなぐ物体を表しています」(研究論文より)
SFやスペースオペラで登場するワームホールだが、実際に存在しているとすれば宇宙はさらに謎に満ちたものになる。

「別の宇宙でBBH(連星ブラックホール)が合体した後に生じるリングダウン信号は、ワームホールのスロートを通過し、私たちの宇宙で短時間のエコーパルスとして検出される可能性があります」(研究論文より)
もし彼らの理論が真実であれば、ワームホールの存在を証明できる可能性が拓けたことになり、科学者がワームホールを研究するための確かな立脚点にもなり得る。
もちろんこの奇妙な信号「GW190521」の発生源について、我々がいる宇宙での2つのブラックホールの衝突によるものであるというのが今のところは最も有力な解釈となっているのだが、その解釈はワームホールモデルを完全に排除できるほど強固なものではないのだと研究チームは指摘している。
はたしてこの宇宙にワームホールは実在するのか。そして並行して存在するパラレルワールドからのシグナルがワームホールを通じて我々の宇宙に届けられることがあるのだろうか。今後の研究の進展に期待したい。
参考:「LADbible」ほか
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