スリッパの中には“足だけ”が残っていた… 人体が灰になるまで燃え尽きたのに部屋は無傷だった「人体自然発火」の怪

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 火のない所に煙は立たないのだが、驚くべきことに人体が自発的に燃えて焼死する死亡事故が過去300年間で200件以上も報告されている。1951年には米フロリダ州で謎の焼死を遂げた女性の遺体は、ほぼ全身が燃え尽き足先だけが残っていた――。

■足先だけが残った謎の焼死事件

 1951年7月のある夜、フロリダ州セントピーターズバーグのアパートに住むメアリー・リーザーさんはいつものようにナイトガウンを羽織り、睡眠薬を飲んで就寝した。

 同居しているのはこのアパートの家主のパンジー・カーペンターさんだけで、2人は家族同様の仲にあった。

 一夜明けた午前8時頃、郵便配達員がリーザーさん宛の電報を届けようとしたが返事がなく、カーペンターさんが様子を見に部屋に行ってみると、金属製の網戸とドアノブが熱くなっていた。火事に違いないと確信したカーペンターさんは近隣住民に知らせ、警察と消防に通報した。

 救助隊員がアパートに入ると、辺りは濃い煙に包まれていたものの、すでに火の気はなかった。リビングルームでは、リーザーさんの遺体の大部分が灰と化しているという凄惨な光景が広がっていた。

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画像は「EXPRESS」より

 残っていたのは、スリッパの中に入ったままの左足の一部と、背骨の一部、そして頭蓋骨だけだったが、頭蓋骨は大幅に縮んでいたという。

 現場は捜査員たちを直ちに困惑させた。焼け跡は女性が座っていた椅子と近くのサイドテーブル、そして壁の一部だけであったのだ。

 椅子の近くにあったプラスチック製品は柔らかくなったり歪んだりしていたが、近くに置いてあった新聞紙はそのまま残っていた。ろうそくやリーザーさんのベッドも同様だった。置き時計は高熱を浴びて午前4時20分で止まっていた。

 状況の異常さから、新聞各紙はリーザーさんが落雷か窓から落ちてきた火の玉の犠牲者になったのではないかと推測し、一方で局所的な火災の原因を解明しようとする取り組みも行われた。

 セントピーターズバーグ警察署長は、FBIの協力を得て詳細な捜査を命じ、周囲の建物をほとんど無傷のままに人体だけが燃え尽きた経緯を解明しようとした。

 FBIの捜査ではガソリンやアルコールなどの痕跡は見つからず、リーザーさんの身体からは液化した人間の脂肪だけが見つかるのみであった。

 最終的に当局はリーザーさんの死は事故によるものと結論付け、「ロウソク効果(wick effect)」と呼ばれる現象に起因する死亡事故であるとされた。当局の説明によると、リーザーさんは喫煙中に眠ってしまった可能性が高く、衣服に火がついた後、彼女の体脂肪が燃料として作用し、ロウソクのようにゆっくりと燃え、部屋のほかの部分に燃え広がらなかったとの説明がなされた。

 FBIの文書には「死体が燃え始めると、脂肪やそのほかの可燃性物質が十分に存在し、さまざまな程度の破壊が起こる可能性がある」と記されている。

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画像は「EXPRESS」より

 リーザーさんの義理の娘もこの説明に同意し、新聞の取材で「タバコは彼女の膝の上に落ちました。彼女の脂肪が彼女を燃え続けさせたのです。彼女の周りには燃えるものは何もありませんでした」と話している。

 FBIの結論にもかかわらず、リーザーさんの死は依然として議論の的となっており、「人体自然発火」説が唱えられている。

「人体自然発火」とは人体が原形を留めないほど完全に燃え尽きているにもかかわらず、周囲の物品がほとんど燃えていないというケースに適用される用語である。

 リーザーさんはペンシルベニア州のチェスナットヒル墓地に埋葬されたが、事故死と分類されているにもかかわらず、彼女の死は近代史において最も広範囲に研究されている死亡事故の一つである。

人体自然発火」の最近の事例は2010年12月22日にアイルランド西部ゴールウェイで起きているが、この先もまだまだ起きるようであれば、謎の解明に向けて本腰を入れた取り組みが求められてくるのだろう。

参考:「Express」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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ツイッター @nakata66shinji

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