2032年12月22日、小惑星が月に激突する確率が最大30%に上昇の可能性?地球の通信網を脅かす“月の破片”の恐怖

昨年末に特定された直径67メートルの小惑星「2024 YR4」が2032年12月22日に月に衝突する確率は4%だが、新たなに予測モデルによればなんと最大で30%にも跳ね上がるという。もし月に衝突すれば破片を撒き散らして人工衛星や国際宇宙ステーションに致命的ダメージを与えかねない――。
■小惑星「2024 YR4」の月衝突リスクが高まる
2024年12月に発見された「2024 YR4」は当初、地球に衝突する可能性が懸念されたが、観測が増えるにつれて地球への衝突の可能性は劇的に低下し、現在ではほぼゼロに近くなっている。しかし一方、月へ衝突する可能性がじわりと高まっているようだ。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測と、南カリフォルニアにあるNASAジェット推進研究所(JPL)の地球近傍天体研究センターによる分析を受けて、NASAは2032年12月22日に月と衝突する可能性を4.3%に改定した。
NASAは小惑星が月面に衝突しても月の軌道は変わらないと説明している。しかし、ウェスタンオンタリオ大学の物理学教授であるポール・ウィーガート氏が率いる研究によると、小惑星は約6.5メガトンのTNT火薬に相当するエネルギーを放出し、月に直径約1キロメートルのクレーターを残す可能性があることが示唆されてる。もしこの規模の衝撃が加われば多くの月の破片が飛散し、周囲に被害が及ぶリスクがある。

地球への直接的被害はほぼないと考えられるものの、地球上の通信と航法サービスの維持を担う低軌道上の人工衛星に壊滅的な影響を及ぼす可能性がある。
そして今回、科学メディア「New Scientist」によると 「2024 YR4」の月衝突の確率が1%未満に低下する確率は80%あり、月衝突の確率が30%以上に跳ね上がる確率は5%であると説明されている。「2024 YR4」の月衝突はじゅうぶん現実的な未来なのかもしれない。
「2024 YR4」は昨年半ばから観測可能範囲外にあり、正確な軌道を予測することは困難なのだが、JWSTの軌道上の独特な位置により、来年2月18日と26日の二日の短い時間に観測することができることがわかっている。
ジョンズ・ホプキンス大学の惑星科学者アンドリュー・リブキン博士によると、この2月の観測は月への衝突の確率を大幅に変える可能性があるという。つまり世界の宇宙機関は決して呑気に身構えてはいられなくなるのだ。
NASAの「DARTミッション」は、人工衛星を「2024 YR4」の側面に衝突させることで、地球と月を守るのに十分な幅で軌道をずらすことができることを示唆している。
しかしこの「運動学的衝突」による軌道変更方法は、宇宙岩石の軌道にわずかな変化しか与えないともいわれており、しかも衝突の可能性のある2032年12月の何年も前から着手しなければならない。
NASAの研究者たちは「2024 YR4」を核爆弾で攻撃するなどして軌道を逸らす方法を検討してきたが、もしそうするならば、対策用の宇宙船を遅くとも2030年までに打ち上げる必要がある。
NASAや欧州宇宙機関(ESA)などの機関にとって「2024 YR4」の軌道を変更すべきかどうかを検討する時間はすでに残り少ないのだが、はたして来年2月の観測で月衝突の確率がさらに高まることになるのか。最悪のシナリオが想定されることになっても不思議ではないのだろう。
参考:「Daily Mail」、「IFLScience」ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊2032年12月22日、小惑星が月に激突する確率が最大30%に上昇の可能性?地球の通信網を脅かす“月の破片”の恐怖のページです。月、NASA、小惑星、衝突などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
