「もう12月?」歳を取ると年々1年が短くなる現象には科学的な理由があった

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「もう12月? 今年はいったい何があったんだ?」。つい先日には、おせち料理を食べていたと思ったら、いつの間にかクリスマスツリーや門松を準備する季節になっている。そんな感覚に覚えはないだろうか。

 なぜ私たちの時間感覚は歪み、毎年加速しているように感じるのか。その謎を解く鍵は、脳がどのように時間を「認識」しているかにある。

脳は時間を「知覚」せず「推論」する

 そもそも「時間の知覚」という言葉自体が誤解を招きやすい。なぜなら、時間そのものは五感で捉えられる物理的な刺激ではないからだ。

 色や音、感触などは、光の波長や音波、圧力などを感覚器官が検知することで認識される。しかし、脳には時間を検知する「時間粒子」のようなものは存在しない。その代わり、脳は「変化」を追跡することで時間の経過を推論しているのだ。時計がカチカチと刻むのとは違い、脳は「どれだけの出来事が起きたか」を積み上げることで時間を測っているのである。

「楽しい時間は早く過ぎる」の嘘と真実

 時間の感じ方には、「現在進行形(どれだけ早く過ぎているか)」と「回想(どれだけ時間が経ったか)」の2つの側面がある。

 病院の待合室では時間は永遠のように長く感じるが、楽しい遊びに夢中になっているときは一瞬で過ぎ去る。これは「注意」の問題だ。時間に注意を向ければ向けるほど、その経過は遅く感じられる。逆に何かに没頭していれば、それが仕事であれ遊びであれ、時間は飛ぶように過ぎていく。

 しかし、後で振り返ると逆転現象が起きることがある。交通事故のような強烈な体験をした人は、その瞬間がスローモーションのように感じられたと言うが、後で思い出すと「長い時間がかかった」と錯覚することがある。これは、脳が強烈な記憶を詳細に保存するため、振り返ったときに「たくさんのことが起きた=時間が長かった」と判断するからだ。

ルーチンワークが1年を短くする

「日は長く、年は短い」。この現象は年齢とともに加速する。

 若い頃は、学校、恋愛、就職など、初めての経験で溢れている。これらの新しい出来事は鮮明な記憶として残り、脳は振り返ったときに「たくさんのことがあったから、長い時間が経ったはずだ」と判断する。

 一方、大人になると日常はルーチン化する。仕事に行き、夕食を作る。単調な毎日は注意を引かず、記憶にも残りにくい。その結果、脳は「あまり変化がなかった=時間は短かった」と推論してしまうのだ。これが、カレンダー上の1年と、私たちが感じる1年の長さにギャップを生む正体である。

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時間の流れを遅くする方法

 では、どうすればこの加速を食い止められるのか?

 その瞬間を長く感じたければ、退屈すればいい。無駄に赤信号を待ち、時計の秒針をただ見つめれば時間は無限に引き伸ばされるだろう。しかし、これでは人生は豊かにならない。

 振り返ったときの1年を長く充実したものにするには、記憶に残る「新しい体験」を積み重ねることだ。日記を書いて記憶を定着させるのも良いが、もっと効果的なのは、未知の場所へ行き、新しいことに挑戦することだ。クレイジーな冒険や忘れられない経験で脳を満たせば、年末に「今年は長かった」と感じられるはずだ。あなたの脳内時計も、きっと感謝することだろう。

参考:ScienceAlert、ほか

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