M8.8巨大地震の後、火山が「噴火のパレード」500年ぶりに目覚めた火山も… ロシアで起きた不気味な連鎖

マグニチュード8.8の巨大地震が大地を揺さぶった後、まるで眠りから呼び覚まされたかのように、6つもの火山が次々と噴火を始めた。さらに7つ目の火山にも噴火の兆候が見られるという。
先週、ロシア極東のカムチャツカ半島で起きたこの「噴火のパレード」。専門家は、巨大地震が眠れる火山のスイッチを押してしまった可能性を指摘している。
500年ぶりに目覚めた火山
巨大地震が発生した7月30日、まず噴火したのはクリュチェフスカヤ火山だった。この火山は地震前から不穏な動きを見せており、専門家は「地震が噴火を引き起こしたのではなく、その勢いを増幅させた可能性が高い」と分析している。
しかし、連鎖はそれだけでは終わらなかった。その後、周辺のシベルチ山、ベズイミアニ山、カリムスキー山、アヴァチンスカヤ山、そしてクラシェニンニコフ山が、次々と噴煙を上げ始めたのだ。
これらの火山はすべて、地震活動が活発な「環太平洋火山帯(リング・オブ・ファイア)」に位置している。幸い、噴火が起きているカムチャツカ半島は人口がまばらで、地域社会への直接的な脅威はないとみられている。しかし、大量の火山灰が航空機の飛行に危険を及ぼす可能性はある、と専門家は警告する。
この一連の出来事で最も注目すべきは、クラシェニンニコフ火山が約500年ぶりに噴火したことだ。「このタイミングは、極めて強い偶然の一致か、あるいは地震の強い揺れがマグマシステムを刺激し、噴火の引き金となったかのどちらかだ」と、ワシントン大学の地震学者ハロルド・トビン氏は説明する。「どちらが真実かを、一つの噴火だけで断定するのは非常に難しい」
さらに、7つ目の火山であるムトノフスキー火山でも熱活動の活発化が報告されており、いつ噴火してもおかしくない状況だという。

地震は噴火の引き金になるのか?
では、地震は本当に火山の噴火を引き起こすのだろうか。
「巨大な沈み込み帯地震が、火山噴火の引き金となることは前例がないわけではない」と、スタンフォード大学の地球物理学者ポール・シーガル氏は語る。
観測史上最大の地震である1960年のチリ地震(M9.5)の後にも、いくつかの火山が噴火した。シーガル氏によれば、地震によって地殻にかかる応力が変化し、マグマが地表に上昇しやすくなった可能性があるという。また、地震の揺れそのものが、地下のマグマの動きを変化させた可能性も考えられる。
今回のロシアでの出来事にも、これらのメカニズムが関わっているのかもしれないが、それを断定するにはまだ早すぎると、シーガル氏は慎重な姿勢を見せる。
異常事態ではない?専門家の冷静な視点
6つもの火山が立て続けに噴火。一見すると異常事態のようだが、専門家たちは意外にも冷静だ。
「世界中では、常時40から50の火山が活発に噴火しています。現在も例外ではありません」と、トビン氏は言う。「カムチャツカは、非常に火山活動が活発な地域なのです」。
つまり、今回の「噴火のパレード」は、たまたま同じ地域でタイミングが重なっただけで、地球全体で見れば、決して異常なことではない、というわけだ。
しかし、500年もの間沈黙を守ってきた火山が、巨大地震の直後に目覚めたという事実は、我々の足元で繰り広げられる、地球のダイナミックで予測不能な活動を、改めて思い起こさせる。この不気味な連鎖が、単なる偶然なのか、それとも巨大地震が鳴らした“破局の鐘”の始まりなのか。科学者たちは今、固唾をのんでその推移を見守っている。
参考:Live Science、ほか
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2024.10.02 20:00心霊M8.8巨大地震の後、火山が「噴火のパレード」500年ぶりに目覚めた火山も… ロシアで起きた不気味な連鎖のページです。火山、噴火、巨大地震などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで