2025年、宇宙探査が辿り着いた“地球外生命体”が存在する可能性

依然として我々はこの宇宙で地球外生命体やその痕跡すら発見できていない。宇宙探査は徒労の情熱なのか――。それでも2025年は実は宇宙探査が一歩前進した年になったという。
■地球外生命体の発見はもうすぐ!?
この宇宙のどこかに我々以外の生命体、それがたとえ微生物レベルであったとしても地球外生命体が存在するのかどうか、今のところ我々にはまったくわからない。しかし2025年は興味深いヒントや、将来のミッションに関する刺激的な新計画がいくつか発表されている。
NASAは地球外生命体の発見に関して、地球外生命検出における信頼度を評価する「CoLDスケール」を作成した。それには7段階あり以下の通りだ。
1.可能性のあるシグナルを検出する。
2.ノイズの可能性を排除する。
3.生物学的な可能性を確認する。
4.非生物学的な説明を排除する。
5.追加の独立したシグナルを検知する。
6.ほかの仮説を除外する。
7.独立した確認をする。

2024年にNASAの火星探査車「パーサヴィアランス」によって火星のジェゼロ・クレーター内のネレトヴァ渓谷(Neretva Vallis)に位置する地層である「ブライト・エンジェル層」が調査されており、その一部には、今では有名な「チェヤヴァ滝」と呼ばれる岩石、「アポロ神殿」と呼ばれる岩石、そして「サファイア・キャニオン」と呼ばれる岩石がある。
2025年9月に「Nature」で発表された論文では、ブライト・エンジェル層の泥岩の特定の領域に、水の存在下で形成されたリン酸鉄や硫化物、そして有機炭素物質のクラスターが発見されたことが報告されている。研究チームはブライトエンジェル層には「潜在的な生命の痕跡」として検討に値する有機的な特徴、組織、化学的特性、そして鉱物的特性が含まれていることを突き止め、火星に生命が存在した可能性が示唆された。

アミノ酸、核酸塩基、糖といった生物の構成要素は、これまで多くの宇宙環境で発見されてきた。今年は「小惑星ベンヌ」でこれまで宇宙で知られていなかったアミノ酸が発見されたほか、恒星間天体「3I/ATLAS」で多くの興味深い分子が発見された。
物議を醸す発見としては、地球から約124光年離れた赤色矮星「K2-18」のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)を公転する「K2-18b」で、この惑星は地球よりも大きく水が豊富であるという。2025年4月に「Astrophysical Journal Letters」で発表された研究では「K2-18b」の大気中に生命の痕跡が存在することが報告され、さらに同年7月に「arXiv」で発表された研究では、痕跡は見つからなかったものの「K2-18b」には間違いなく水が豊富に存在することが主張されている。
同じく同年7月に「National Astronomy Meeting 2025」で発表された研究によると、もし宇宙人が南アフリカとオーストラリアで建設中のスクエア・キロメートル・アレイ(SKA)観測所のような施設を所有していれば、漏洩する電波信号によって我々を発見できる可能性があることが示唆されている。最大200光年離れた惑星の地球外文明でも、地球上の空港のレーダーから信号を検知できるというのだ。

地球外知的生命体の探索において、最近の提案の一つは我々が検出できる地球外文明が「騒々しい」存在であることが予想されている。「終末論的仮説(eschatian hypothesis)」は、地球外文明とのファーストコンタクトはその後の接触よりも極端で異常な出来事になるという考えを提唱していて穏やかではない。我々が最初に接触するエイリアンはかなりエキセントリックな存在であるというのだ。
さらに今後は、宇宙で我々が孤独な存在なのかどうかという問いに対する答えを得るためのいくつかの刺激的なプロジェクトが控えている。欧州宇宙機関(ESA)の火星探査車「ロザリンド・フランクリン」は2028年に火星を訪れて地下を掘削して生命の痕跡を探す予定だ。またESAは土星の氷の衛星である「エンケラドゥス」の探査ミッションにも着手している。エンケラドゥスは、太陽系における地球外生命存在の有力候補である。
2026年は宇宙探査においてさらに前進が見られるのだろうか。この宇宙で人類の“同僚”に邂逅する積年の悲願が叶う日は案外近いのかもしれない。
参考:「IFLScience」ほか
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