【終末論的仮説】エイリアンとの初接触は「死にゆく文明」との出会いになる? 最新研究が描く悲劇のシナリオ

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 将来、我々が最初に接触するエイリアンはどんなキャラクターなのだろうか――。来るべく“未知との遭遇”はぜひとも感動的であってほしいものだが、残念ながらけっこう悲惨なものになる可能性が高いことが新たな研究で示唆されている。

■宇宙探査は“悲痛の叫び声”を聞くこと!?

 地球外生命体、そして地球外文明を発見することは宇宙探査における悲願だが、ある研究者によればエイリアンとの最初の接触は悲劇的なものになるという。彼らが発しているのは“悲痛の叫び声”であるというのだ。

 米コロンビア大学の天文学助教授、デイビッド・キッピング氏が12月10日に「arXiv」に投稿した研究は、人類とエイリアンとの最初の接触はおそらくかなり悲惨なものになるだろうと示唆している。

 人類よりも進化したエイリアンがどのような行動をとるかという我々のイメージは、往々にして我々自身の理想から来ている。彼らは我々と同じように、発展に伴って多くのエネルギーと資源を追い求め、自らのニーズに合わせて絶えず拡大しているのだろうと考えがちである。膨大な電力需要を満たすために「ダイソン球」などの巨大な巨大構造物を建造したり、銀河系を所狭しとUFOで飛び回っているエイリアンを想像したりもする。しかし我々はまだそのようなエイリアンの痕跡を見つけてはいないのではあるが。

 しかしこの考えは見当違いである可能性もある。

「高度に発達した成熟した地球外文明が存在する可能性はありますが、私たちがそれを知ることは決してないでしょう。なぜなら、それらはあまりにも持続可能になり、もはや私たちが頼りにできる痕跡が残っていないからです。終末論的仮説(eschatian hypothesis)はこの考えに傾倒しており、(逆に)最も検知しやすい地球外文明は不安定な文明であることが示唆されています」とキッピング氏はYouTubeチャンネル「Cool Worlds」に投稿した動画で説明する。

 つまり文明が進んだ存在ほど環境に適応しており、それより遅れている技術文明の我々が発見するのはきわめて難しいというのである。逆に我々が発見できるのは、環境に適応しているのではなく現在の我々のように環境を搾取して無駄なエネルギーを放出している目立って「騒々しい」文明であるだろう。

 研究論文の中でキッピング氏は、我々の天文学的探索では宇宙で典型的なものよりも、異常を最初に検出することがよくあると指摘している。異常値の方が検出しやすいからである。

 たとえば最初の3つの太陽系外惑星は、パルサーと呼ばれる高速で回転し高度に磁化された中性子星の周囲で発見された。このことによって、ほかの恒星系も我々の太陽系に似ているだろうという仮説に疑問が投げかけられたのだ。しかしさらに研究を進めて宇宙を調査し、6000を超える太陽系外惑星を発見しても、パルサーの周囲に位置する惑星の数は10個未満のままであったのだ。

 また超新星爆発は銀河系内で1世紀に約2回発生することから稀な現象と考えられていたが、観測技術の進歩によって宇宙全体で毎年何千もの超新星爆発が検出されている。

「『終末論的仮説』は、人類が初めて確認する別の知性体の検出は、本質的に不安定で、一時的で、非典型的だが、非常に大きな騒音を伴う例である可能性があると主張している」(研究論文より)

 生命の兆候を探す際には、我々が検出される方法を探すべきであることが示唆されている。たとえば人類のように温室効果や汚染によって自らの惑星を温暖化させている兆候などだ。

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 キッピング氏によると、短期間の「騒々しい」段階にあるこれらの文明は、より持続可能で自然状態との区別がつきにくい先進的で静かな文明よりもはるかに発見されやすい可能性があるという。

「騒々しい」段階の文明は生涯にわたって消費した総エネルギーのかなりの量を短期間で使用する可能性があり、背景に対して短時間で強力に輝く超新星のようにより検出されやすくなる可能性がある。

「ここでの最初の接触は、死の苦しみに喘ぎ、終末を前に激しくもがき苦しんでいる文明との接触です。この考えをさらに発展させると、そのような種族は自らの滅亡が差し迫っていることを認識し、最後の手段として意識的に虚空へとメッセージを送ることを決意するかもしれません」とキッピング氏は動画の中で付け加えている。

「内部の破滅に直面した時、外部からの脅威への恐怖は消え去ります。失うものは何もなく、得るものしかありません」(キッピング氏)

 この宇宙で遂に“同士”を発見し接触に期待が高まったとしても、持続不可能な彼らは滅亡の瀬戸際にあり、必死の形相で我々に助けを求めてくる可能性もありそうだ。つまり我々の宇宙探査とは暗い宇宙に響く“悲痛の叫び声”を探すことだとすれば、愉快な作業とは言えなくなるのかもしれない。そしてもちろん我々人類が叫ぶ側になる愚をなんとしても避けなければならない。

参考:「IFLScience」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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