宇宙から「太陽光」をデリバリー? 5万枚の鏡を打ち上げる狂気のプロジェクトが始動

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 夜空を見上げれば月が輝き、朝になれば太陽が昇る。そんな当たり前の自然の摂理を、テクノロジーの力で書き換えようとする野心的な(あるいは無謀な)計画が動き出している。

 米カリフォルニアのスタートアップ企業「リフレクト・オービタル(Reflect Orbital)」が、宇宙空間に巨大な鏡を設置し、地上の狙った場所に「オンデマンドで太陽光を届ける」という驚きの計画をぶち上げたのだ。すでに米連邦通信委員会(FCC)にライセンス申請を行っており、早ければ今年の夏にも最初のプロトタイプが打ち上げられるという。

 かつてSF映画で見たような「人工太陽」が、いよいよ現実のものになろうとしているのか。

夜を昼に変える「5万枚のミラー・コンステレーション」

 リフレクト・オービタル社が構想しているのは、高度約640kmの軌道上に展開する巨大な反射鏡のネットワークだ。

 まず計画されているのは、直径約18メートルのプロトタイプ。これが宇宙で傘のように開くと、地上に対して約4.8kmの幅で太陽光を反射させる。地上から見れば、「満月と同じくらいの明るさの光る点」が空に出現することになるという。

 同社の計画は段階的だが、その規模は回を追うごとに膨れ上がっていく。

2027年末まで:さらに2機のプロトタイプを投入。
2028年末まで:1000機の衛星を打ち上げ。
2035年まで:最終的に5万枚の鏡による巨大網を構築。

 CEOのベン・ノバック氏は「化石燃料に代わり、すべてを動かすエネルギー源を作りたい」と豪語する。要するに、夜間でも太陽光発電所に光を当て続けることで、24時間フル稼働のクリーンエネルギーを実現しようというわけだ。

 ほかにも、被災地の夜間照明や、街灯の代わり、さらには農業の成長サイクル調整など、使い道は多岐にわたる。ちなみに、年間1000時間以上の契約を結べば、1時間の照射につき約5000ドル(約75万円)で「お日様」をデリバリーしてくれるそうだ。

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画像は「Daily Mail Online」より

「生物への冒涜か」科学者たちが鳴らす警鐘

 だが、この「夜を盗む」ような計画に対し、専門家からは悲鳴に近い反対意見が噴出している。

 ノースウェスタン大学の神経生物学者マーサ・ホッツ・ヴィタテルナ氏は、「野生動物、ひいてはすべての生命への影響は計り知れない」と警告する。

 地球上の生命には、数億年かけて刻み込まれた「概日リズム(サーカディアン・リズム)」がある。もし夜間に突然太陽光が降り注げば、以下のようなパニックが予想されるのだ。

動物: 餌が少ない時期に繁殖を始めたり、冬眠中の昆虫が目覚めて凍死したりする。
渡り鳥: 季節を勘違いして、死を招く寒さの中を飛び立ってしまう。
植物: 受粉を助ける虫がいない時期に開花してしまう。

 人間にとっても他人事ではない。夜間に強い光を浴びれば睡眠サイクルは狂い、健康被害を招く恐れがある。夜空を守る団体「DarkSky」は、公共の安全と生態系に対する「深刻なリスク」だと断じている。

 そもそも、イーロン・マスク率いるスペースXなどは、天体観測の邪魔にならないよう衛星を「反射しにくく」する努力を続けている。それなのに、あえて「物理的に可能な限り明るく輝く」鏡を5万枚もバラ撒こうというのだから、天文学者たちが「地上からの天体観測を壊滅させる」と憤慨するのも無理はない。

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失敗に終わった過去の「人工太陽」計画

 実は、宇宙に鏡を浮かべるアイデアは今回が初めてではない。

 1993年、ロシア(当時はソ連崩壊直後)が「ズナーミャ」と呼ばれるプロジェクトを実施したことがある。約20メートルの鏡を広げ、シベリアの僻地を照らそうと試みたのだ。この時は満月2〜3個分の明るさを実現したが、その後の実験で事故が発生し、資金難も重なって計画は頓挫した。

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ズナーミャ2 By www.energia.ru, CC BY 4.0, Link

 かつてのロシアが夢見た「不夜城」の構想を、現代のシリコンバレー企業がさらに大規模に、そして商業的に再現しようとしている形だ。

 ここで一つ、気になる「お役所仕事」の実態がある。 リフレクト・オービタル社が申請を出しているFCC(米連邦通信委員会)は、なんと「宇宙で起きることは地球上のことではない」という謎の論理で、環境への影響を審査の対象外としているのだ。宇宙開発のスピードに、法整備が全く追いついていない現状が透けて見える。

 科学の進歩が人類を救うのか、それとも夜の静寂を奪い去るディストピアを招くのか。日本でも「真夜中にいきなり空が輝き出した」なんてニュースが流れる日は、そう遠くないのかもしれない。

参考:Daily Mail Online、ほか

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