世界の未解決航空ミステリー5選! 飛行船騒動からハイジャック犯の完全犯罪まで、航空史の未解決事件簿

「空を飛ぶことの味を一度でも知れば、あなたの目は永遠に空へ向かうだろう。なぜならあなたはそこへ行き、そして常にそこへ帰りたいと願うからだ」
このロマンチックな名言は、長年レオナルド・ダ・ヴィンチのものだと信じられてきた。しかし近年の研究で、実は1965年のダ・ヴィンチに関するドキュメンタリー番組の脚本家が書いたセリフが、いつの間にかダ・ヴィンチ本人の言葉として誤解されて広まったものだと判明している。
名言の出所はともかくとして、この言葉は人類の「空への憧れ」を完璧に表現している。しかし、空は時にロマンチックであると同時に、残酷な密室でもある。現代の飛行機事故は統計的には非常に稀だが、航空の歴史を振り返れば、未だに解決されていない不気味な失踪や事件がいくつも存在する。
今回は、事実は小説より奇なりを地で行く、航空史に残る「5つの未解決ミステリー」を紹介しよう。
1. 跡形もなく消えた熱気球乗り(1856年)

航空機による「完全なる失踪」の記録は、飛行機が発明される前の熱気球の時代まで遡る。
マティアス・ペレスは、19世紀半ばのキューバで名を馳せた熱気球乗りだった。彼はそれまでに3回の飛行を成功させ、ある程度の経験を積んでいたが、1856年にハバナで行われた飛行が彼の最後の旅となった。
大空へと舞い上がった彼の熱気球は、そのまま誰の目にも触れることなく完全に空の彼方へ消え去り、二度と戻ってくることはなかった。本人も気球の残骸も、現在に至るまで一切発見されていない。彼は歴史上初めて「空中で完全に神隠しにあったパイロット」として、未解決航空ミステリーの象徴的な存在となっている。
2. 空飛ぶ葉巻? 謎の飛行船騒動(1896〜1897年)

1890年代後半、アメリカ上空で奇妙な目撃情報が相次ぎ、ちょっとしたパニックになった。「葉巻型」の巨大な船が夜空を飛行し、強力な光を放っていたというのだ。日本で言えば「江戸時代に未確認の巨大UFOが飛んでいた」と騒がれたようなものである。
この事件が不気味なのは、当時まだそのような強力なライトを搭載した飛行船の技術が一般に普及していなかった点だ。そのため、「超自然的な何かの仕業ではないか」と人々は震え上がった。当時の雑誌の風刺画家は「自転車乗りのヘッドライトの見間違いだろう」と揶揄したが、結局いくつかの目撃情報については合理的な説明がつかないまま、現在もUFO研究者たちの間で語り草となっている。
3. アメリア・イアハートの失踪(1937年)

航空史のミステリーを語る上で、彼女の名前を外すことはできない。女性として初めて大西洋単独横断飛行を成し遂げた伝説のパイロット、アメリア・イアハートだ。
彼女はナビゲーターのフレッド・ヌーナンと共に「女性初の世界一周飛行」に挑んだが、1937年7月2日、太平洋のハウランド島での給油に向かう途中で無線が途絶え、そのまま機体ごと完全に姿を消してしまった。
彼女がどこへ消えたのかについては、スパイとして日本軍に捕まった説など様々な陰謀論が飛び交った。しかし近年、絶海の孤島「ニクマロロ島」の衛星画像に、飛行機の翼らしきものが写っていることが発見され、事態が急展開を見せている。彼らは通信手段を失ったままこの無人島に不時着し、救助を待ちながらそこで息絶えたのではないかという説だ。今年、この謎を解明するための調査チームが現地へ向かう予定であり、世紀のミステリーが解決する日が近いかもしれない。
4. エイミー・ジョンソン墜落事件の「消された真相」(1941年)

エイミー・ジョンソンもまた、女性初のイギリス〜オーストラリア単独飛行を成し遂げた英雄的パイロットだ。しかし彼女の最期は、名誉あるものではなく、深い謎と物議に包まれている。
1941年1月5日、雪の降る悪天候の中、彼女の乗る飛行機はイギリスのテムズ川河口付近で墜落した。水面で助けを呼ぶ姿が目撃されたものの、救助は間に合わず、彼女の遺体は現在に至るまで発見されていない。
この墜落の原因について、数十年後に一人の元兵士が衝撃的な告白をした。「合言葉(パスワード)を間違えたため、彼女を敵機のパイロットだと勘違いして自分が撃ち落としてしまった」というのだ。彼は後になってから、自分が撃墜したのが国民的英雄のエイミーだと知ったのだという。
しかし、この証言は政府高官によって公式に確認されることはなく、真実はテムズ川の冷たい水の底に沈んだままだ。味方の誤射(フレンドリー・ファイア)という不都合な真実が、戦争の熱狂の中で揉み消された可能性は十分に考えられる。
5. D.B.クーパー事件(1971年)

最後は、飛行機事故ではなく、航空史上最もスタイリッシュでミステリアスなハイジャック事件だ。
1971年11月24日、「ダン・クーパー(メディアの誤報によりD.B.クーパーとして定着)」と名乗るスーツ姿の男が、ノースウエスト・オリエント航空のボーイング727型機をハイジャックした。彼は爆弾を持っていると脅し、身代金20万ドル(現在の価値で約1億5000万円以上)とパラシュートを要求した。
要求を飲ませた彼は、飛行中の機体の後部ドアを開け、札束を抱えたままパラシュートで夜の嵐の空へと飛び降りたのである。その後、大規模な捜索が行われ、数年後に一部の紙幣が川べりで見つかったものの、彼自身の行方や遺体は一切発見されなかった。
見事な手際で大金を奪い、夜空へ消えたD.B.クーパー。彼は無事に地上に降り立ち、どこかで優雅な余生を送ったのだろうか。それとも、あの嵐の夜に冷たい森の中で誰にも知られず息絶えたのか。彼は身元不明のまま、アメリカ犯罪史の伝説として、今も人々の心を惹きつけてやまない。
消えた気球乗りから、夜空にダイブした怪盗まで。人類が空に挑み続ける限り、こうした「空白の記録」は決してなくならないのだろう。完全な密室である空が飲み込んだ彼らの真実は、地上で待つ私たちには永遠に解けないパズルなのかもしれない。
参考:MENTAL FLOSS、ほか
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