「地球外起源」を否定できなかった —— 南米の細長い頭蓋骨、DNA分析でも謎が深まる

パラカス頭蓋骨 Photo by Brien Foerster, CC BY 2.0, Link

 南米ペルーの乾いた砂漠で約100年前に掘り出された、奇妙に細長い頭蓋骨の群れがある。後頭部が大きく伸び、人間離れしたシルエットを描くその姿は、1世紀を経た今もなお「これは本当にヒトの頭骨なのか」という問いを投げかけ続けている。そこに終止符を打つと期待されたDNA分析が、皮肉にも「地球外起源を否定できなかった」という宙吊りの結末を迎え、議論を再燃させている。

「パラカス・スカル」——100年越しに残された異形

 問題の頭蓋骨は、ペルー南部のパラカス半島で1920年代に発掘された一群で、地名にちなみ「パラカス・スカル」と呼ばれる。古代に栄えたパラカス文化の墓所から見つかったもので、最大の特徴は、通常のヒトとは比較にならないほど後方へ長く伸びた頭部の形状にある。

 考古学の世界では、この形状の説明として長く支持されてきた「定説」がある。乳幼児期に板や布で頭部をきつく縛り、まだ柔らかい頭蓋骨を人工的に変形させる「頭蓋変形(クラニアル・バインディング)」という風習だ。古代ペルーをはじめ世界各地に実在した文化的慣行であり、多くの研究者は「パラカスの異形も、この風習の産物にすぎない」と見なしている。生まれつきの形ではなく、後天的に「作られた」頭だというわけである。

 だが、この定説では割り切れないと考える人々もいる。彼らが指摘するのは、頭蓋の容積や骨の構造そのものが通常のヒトと異なって見える点だ。布で縛って外形を変えることはできても、骨の重さや内部の構造までは変えられないはず——そうした疑問が、定説の足元に小さな影を落とし続けてきた。

米大学チームが挑んだDNA分析、しかし——

 この長年の論争に終止符を打つべく持ち出されたのが、遺伝子解析だった。米バージニア州のリバティ大学の研究チームが、パラカスの頭蓋骨からDNAを抽出する試みに挑んだことが報じられている。

 チームが着目したのは「歯」だ。歯は人体の組織のなかでも比較的良好な状態でDNAを保持しやすく、古い遺体から遺伝情報を取り出す際の有力な手がかりとされる。十分な量が回収できれば、この頭骨がどの集団に連なる人々のものなのか、あるいは既知のヒトの系統に当てはまらない何かなのかを、客観的に判定できるはずだった。

 ところが結果は期待を裏切った。歯から回収できたDNAの量は、頭蓋骨の遺伝的な素性を明らかにするには「あまりに少なすぎた」とされ、意味のある分析には至らなかったというのだ。約100年という発掘後の年月、そして高温乾燥という保存環境が、遺伝情報の劣化を進めてしまったとみられる。結論はシンプルかつもどかしいものだった——分析するに足るDNAが、もう残っていない。

「否定できなかった」という結末が意味するもの

 ここで注意したいのは、報じられた見出しの言い回しだ。「地球外起源を否定できなかった」という表現は、一見すると「宇宙人の頭骨である可能性が高まった」かのような印象を与える。だが実際は、地球外起源説を裏付ける証拠が出たわけではなく、あくまで「技術的な限界によって、どちらとも判定できなかった」という事態である。DNAという最も強力な物差しが、肝心の場面で機能しなかった——それが今回の核心だ。

 過去にもパラカスの頭蓋骨をめぐっては独自のDNA分析を行ったとする報告が話題を呼んだことがあるが、その手法や結論の信頼性には専門家から疑問の声も上がっており、学術的な合意には至っていない。

 それでも、この「決着がつかなかった」という事実そのものが、ロマンを求める人々にとっては好材料となる。完全に否定されれば話は終わるが、否定しきれない限り、想像の余地は残り続けるからだ。異形の頭骨が古代人の信仰や美意識が生んだ「文化の痕跡」なのか、それとも私たちの知る歴史に収まらない何かなのか。砂漠の沈黙の頭蓋骨たちは、自らの素性を語ることなく、次の科学の進歩を待ち続けている。

参考:Unexplained-Mysteries、ほか

TOCANA編集部

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