乗員ゼロのまま“完璧な着陸”を決めた「幽霊爆撃機」 B-17はなぜ基地に帰れたのか? 第二次大戦のミステリー

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 1944年11月23日、第二次世界大戦下のベルギーで、歴史家たちを今なお困惑させる不可解な事件が起きた。

 ドイツへの爆撃任務から帰還したアメリカ軍のB-17爆撃機、通称「空の要塞(フライング・フォートレス)」。対空砲火でボロボロになったその機体が、なんと「乗組員が誰もいない状態」で、基地の滑走路にほぼ完璧な着陸を決めたというのだ。

 自動操縦の偶然か、それとも目に見えない何者かが操縦桿を握っていたのか。

 ミリタリー・オカルトの古典にして最高峰とも言える「幽霊爆撃機(ファントム・フォートレス)」の謎とは。

墜落確実の機体から全員が脱出

 このB-17爆撃機(機体番号43-38545)は、ハロルド・デボルト中尉の指揮のもと、ドイツの工業地帯メルゼブルクへの危険な爆撃任務に参加していた。

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画像は「Espacio Misterio」より

 敵の猛烈な対空砲火を浴びた機体は、2つのエンジンに致命的なダメージを受け、高度を急激に失い始める。デボルト中尉は機首を連合軍の拠点があるベルギー・ブリュッセルへと向けたが、高度1500フィート(約450メートル)に達したとき、残りのエンジンも悲鳴を上げて停止した。

「もはや墜落は免れない」。そう判断した乗組員たちは、次々とパラシュートで機体から脱出。最後にデボルト中尉も高度800フィートで機を後にした。

 通常であれば、パイロットを失った約30トンの鉄の塊は、そのまま地面に激突して火の玉になるはずだ。しかし、このB-17は違った。

「無人」のまま滑走路へアプローチ

 機体は連合軍の領空に入ると、徐々に高度を下げ、コルテンベルクのRAF(英王立空軍)基地の滑走路に向かって「ほぼ完璧なアプローチ」を開始したのだ。

 車輪(着陸脚)を降ろし、滑走路に一直線に向かって接地。そのまま滑走路を走り抜け、土手に軽くぶつかって静かに停止した。

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画像は「Espacio Misterio」より

 駆けつけた救助隊のイギリス軍ジョン・V・クリス少佐が機内に乗り込むと、そこには誰もいなかった。

 残されていたのは、食べかけのチョコレートバーと、1ダースほどのパラシュートだけ。血痕もなく、乗組員がどこかで息絶えている様子もなかった(実際、乗組員は全員無事にパラシュート降下して生還している)。

 こうして「幽霊爆撃機」の伝説が誕生したのである。

奇跡の確率か、それとも…?

 この信じがたい出来事に対し、公式の歴史家たちは「自動操縦(オートパイロット)による偶然の産物」だと説明している。

 B-17には当時としては先進的な制御システムが搭載されており、脱出前に機体のバランス(トリム)がうまく調整されていれば、しばらくの間は水平飛行を維持できたというのだ。着陸脚も、油圧システムの損傷によって重力で自然に降りた可能性があるとしている。

 しかし、いくら自動操縦とはいえ、これほどの「偶然の連鎖」が起こり得るだろうか。

 ただ飛ぶだけではなく、適切な角度で降下し、風を補正し、建物を避け、滑走路にピタリと着陸する。パイロットでも難しいこの神業を、無人の機体が勝手にやってのけたのだ。
 
 機内に残されたパラシュート(予備として積まれていたもの)がミステリーを煽った側面もあるが、この事件が今も語り継がれるのは、それが「奇跡」という言葉以外で説明するのがあまりにも困難だからだ。

 絶体絶命のピンチから乗組員を逃し、自らは安全な場所へ降り立ったB-17。もしかすると、空の要塞にはパイロットたちの命を救おうとする「魂」が宿っていたのかもしれない。

参考:Espacio Misterio、ほか

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