米政府が本気で策定した「文明崩壊シナリオ」5選 ― ゾンビ襲来から小惑星衝突まで、世界の終わりに備える“極秘”計画

核戦争、小惑星の衝突、そしてゾンビの大量発生…。まるでハリウッド映画から飛び出してきたかのような、想像を絶する大災害。しかし、アメリカ政府は、そんな「ありえない危機」に対して、驚くほど詳細で、時に奇妙な緊急時対応計画を本当に策定している。
その多くは国家安全保障上の最高機密だが、一部は機密解除され、我々もその驚くべき内容を知ることができる。ここでは、アメリカという超大国が、文明の終わりに備えて本気で練り上げた、最も信じがたい5つの“終末計画”を紹介しよう。
1. 対ゾンビ制圧作戦「CONPLAN 8888-11」

その名も「対ゾンビ優勢支配作戦」。これは、アメリカ戦略軍(USSTRATCOM)が2011年に作成した、本物の作戦計画書だ。もちろん、敵は架空のゾンビだが、その目的は極めて真面目な軍事訓練にある。
この計画書は、若手将校たちが、政治的な配慮なしに純粋な作戦立案のメカニズムを学ぶために作成された。ゾンビという完全に架空の敵を設定することで、兵站、指揮系統、検疫ゾーンの設置、人道支援、そして攻撃作戦といった、現実の軍事ドクトリンに基づいたあらゆる段階の訓練を、より実践的に行うことができるのだ。
驚くべきことに、計画書はゾンビの種類まで詳細に分類している。ウイルスによる「病原性ゾンビ」から、植物由来の「植物性ゾンビ」、さらには実験で蘇ったニワトリを指す「チキンゾンビ」まで。この馬鹿げたように見える分類こそが、様々な脅威に柔軟に対応するための、本気の訓練の証なのである。
2. 政府存続(COG)計画―“指定生存者”と地下シェルター

大規模な核攻撃などによって、国家の中枢が壊滅した場合、政府機能をいかにして維持するか。冷戦時代に生まれたこの「政府存続(Continuity of Government, COG)」計画は、アメリカの危機管理の根幹をなす最重要プロトコルだ。
ドラマでも有名になった「指定生存者(designated survivor)」の制度も、この計画の一部だ。大統領や副大統領、閣僚が一堂に会する際、必ず一人の閣僚が安全な非公開の場所に隔離され、万が一の際には指導者として国を引き継ぐ。
さらに重要なのが、政府機能そのものの物理的な移転だ。ワシントンD.C.が破壊された場合に備え、アメリカには「代替作戦施設(AOFs)」と呼ばれる、地下の巨大な核シェルターが多数存在する。議会のためのグリーンブライアー・リゾート地下施設や、ペンシルベニア州のレイブン・ロックマウンテン複合施設(サイトR)などが有名で、これらの要塞は、文明が崩壊しても国家の機能を維持するための最後の砦となる。
3. 惑星防衛調整局(PDCO)―小惑星衝突への備え

小惑星や彗星といった地球近傍天体(NEO)の衝突は、人類を滅亡させかねない現実的な脅威だ。NASAの「惑星防衛調整局(PDCO)」は、この宇宙からの脅威に対抗するために設立された。
その任務は、まず大陸規模の破壊を引き起こす可能性のある、直径140メートル以上のNEOの90%以上を追跡・カタログ化すること。そして、もし衝突コースが確認された場合、2つの迎撃戦略が発動される。
一つは、高速の宇宙船を衝突させて軌道をわずかに逸らす「キネティック・インパクター」。そして、より大きな天体に対しては、核爆弾を近くで爆発させ、その衝撃で軌道を変える「核スタンドオフ爆破」だ。リスクは高いが、人類滅亡を回避するための最後の切り札である。
4. 超巨大火山噴火への備え(イエローストーン)

その噴火が起これば、アメリカの大部分が火山灰に覆われ、世界は「火山の冬」に突入する。イエローストーン国立公園の地下に眠る超巨大火山(スーパーボルケーノ)の噴火は、確率こそ低いものの、その被害は壊滅的だ。
連邦緊急事態管理庁(FEMA)やアメリカ地質調査所(USGS)は、この最悪のシナリオに備えている。計画の第一段階は、地震活動や地盤の変動をリアルタイムで監視し、避難のための警告を最大限早く発令すること。
そして、もし噴火が起きた場合、大陸規模での兵站活動が開始される。火山灰の除去、呼吸用保護具の配布、そして「火山灰のない」安全な食料・水供給網の確立。さらに、火山灰が太陽光を遮断し、地球が寒冷化する「火山の冬」に備え、国家規模での食料・エネルギー配給計画まで想定されている。
5. EMP攻撃への備え―文明を沈黙させる電磁パルス

高高度での核爆発や、極端な太陽嵐によって発生する強力な電磁パルス(EMP)は、一瞬にして電子機器を破壊し、電力網を麻痺させる。それは、現代文明の“突然死”を意味する。
国土安全保障省(DHS)が主導する国家戦略は、まず電力網の“要”となる高圧変圧器などを、強力な電流から保護するための強化に重点を置いている。
そして、もしEMP攻撃によって主要なシステムが停止した場合、軍はEMP対策が施された「マイクログリッド」や、あらかじめ準備された資産を起動。これにより、主要な軍事基地や政府施設は、指揮・統制・通信機能を維持する。民間インフラの復旧には数ヶ月、あるいは数年かかると想定されており、その間の国家機能を維持するための、まさに最後の防衛線だ。
これらの計画は、私たちの平和な日常がいかに脆い基盤の上に成り立っているかを物語っている。そして、政府が“ありえない未来”に、いかに真剣に向き合っているかの証左でもあるのだ。
参考:LISTVERSE、ほか
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2024.10.02 20:00心霊米政府が本気で策定した「文明崩壊シナリオ」5選 ― ゾンビ襲来から小惑星衝突まで、世界の終わりに備える“極秘”計画のページです。ゾンビ、終末、崩壊、小惑星衝突などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで