南極の氷に閉ざされた幽霊船「オーシャン・ドリーム号」:現代“ネット都市伝説”の全貌と真実

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 近年、インターネット上でまことしやかに囁かれている奇妙な話がある。2000年代初頭に忽然と姿を消した豪華客船「オーシャン・ドリーム号」が、約20〜25年後の2025年頃、南極の巨大な氷塊の間で発見されたというのだ。しかも、船体は無傷のままで、乗員の姿だけが消えていたという。

「食堂のテーブルには料理が残され、照明は点いたまま。まるで時間が止まったかのようだった」

 ——このミステリアスな物語は人々の想像力を掻き立て、瞬く間に拡散された。しかし、冷静に事実を検証してみると、この魅力的なストーリーには多くの矛盾点が見え隠れする。結論を急ぐ前に、まずは事実と創作をしっかりと区別する必要があるだろう。

都市伝説の詳細:バミューダ海域からの消失と南極での再出現

 噂によると、オーシャン・ドリーム号は2000年夏にマイアミを出航し、魔のバミューダ海域を通過後に消息を絶ったとされる。そして数十年後、極地の氷海で漂流しているところを発見された。

 発見時の描写は極めてドラマチックだ。船内には荒らされた形跡もなく、スーツケースもそのまま。しかし、乗客乗員の姿だけが跡形もなく消えており、死体や救命ボートも見つからなかったという。一部の物語では「国際調査チームが法医学調査を開始した」といった具体的なディテールまで語られているが、これらはすべて検証不可能な情報に基づいている。

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実在した船と、存在しない記録

 まず、「オーシャン・ドリーム号」という船自体は実在した。1980年代初頭に建造されたクルーズ船で、カーニバルクルーズ社の「トロピカール」として就航後、ピースボートなどで使用された。しかし、この船は謎の失踪などしていない。2010年代末まで通常運航を続け、2021年にインドでスクラップとして解体されているのだ。

 また、同名の別船も存在するが、こちらは2016年にタイ沖で転覆・沈没している。いずれにせよ、「2000年に乗客ごと消えた」という事実は存在しない。これほどの大型客船が消息を絶てば世界的な大ニュースになるはずだが、そのような公的記録は皆無である。この「公的記録の欠如」こそが、この話に対する最大の疑問点である。

「メアリー・セレスト号」の再来か? 現代の神話が生まれる背景

 この物語の構造は、1872年に大西洋で無人のまま発見された「メアリー・セレスト号」や、乗員が凍りついた姿で発見されたという18世紀の伝説「オクタヴィウス号」と酷似している。これら古典的な海難ミステリーの要素を現代風にアレンジし、実在の船名を借用することでリアリティを持たせたのが、今回の都市伝説の正体だろう。

 ネット上で拡散されたこの話は、SNSやYouTubeを通じて尾ひれがつき、「失踪年は2004年」「乗客は350人」といったバリエーションも生まれた。しかし、温帯仕様のクルーズ船が燃料補給なしで南極まで漂流できるはずもなく、数十年放置されて無傷であることも物理的にあり得ない。

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結論:ネット社会が生んだ現代のフォークロア

 現時点では、オーシャン・ドリーム号が謎の失踪を遂げたという事実も、氷の中で発見されたという事実も確認されていない。これは、実在した船をモデルに、ネット上の想像力が生み出した現代のフォークロア(民間伝承)である。

 海には確かに多くの謎が眠っているかもしれない。しかし、今回の件に関しては、最大のミステリーは海の中ではなく、情報が瞬時に拡散されるネット社会における「物語を求める人間の心理」にあるのかもしれない。私たちは、画面の向こうにある「未知への恐怖と好奇心」に、まんまと踊らされているだけなのだ。

参考:La Radio del DiarioDiario La Libertad、ほか

TOCANA編集部

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