タイタニック号は呪われていた?豪華客船を沈めた「邪悪な古代ミイラ」の伝説とは
沈没した豪華客船タイタニック号は呪われていたのか? 風の噂ではタイタニック号の荷室には大英博物館からアメリカへ輸送中だった古代エジプトのミイラがあったというのだが――。
■タイタニック号沈没は“ミイラの呪い”だったのか?
1912年4月に起きたタイタニック号の沈没は当時世界最大の客船の沈没事故であり、乗船していた1500人が死亡する悲劇であった。
沈没の原因についてさまざまな説が浮上しているのだが、ある噂によれば沈没時のタイタニック号には大英博物館からアメリカへ輸送中だった古代エジプトのミイラが積み込まれていたという。
この物語の語り手たちは、タイタニック号の沈没はミイラとして船内に運び込まれた3600年前の古代エジプトの巫女の怨霊によるものだと主張している。
“ミイラの呪い”をフィーチャーしたほとんど根拠のない不気味な噂話ではあるのだが、この話を広めた1人には、「シャーロック・ホームズ」のシリーズの著者として有名な作家兼医師のアーサー・コナン・ドイルと親しかったイギリス人ジャーナリスト、バートラム・フレッチャー・ロビンソンもいた。
ロビンソンはこの時のタイタニック号には大英博物館にある「不運なミイラ」として知られる古代エジプトのミイラが積み込まれていたとのだという。
この話はコナン・ドイルにも伝えられ、後にドイルは「古代エジプト人の力に関する伝説はたくさんあるが、私は彼らの墓や遺物について軽んじるつもりはない。悪意のある霊がたくさんいる」と語っている。積み込まれた「不運なミイラ」の悪意に満ちた呪いがタイタニック号を沈没させたというのだろうか。
「ミイラの呪い」を唱えたもう1人はジャーナリストのウィリアム・ステッドで、彼は沈没事故の犠牲者でもある。
ステッドの最後の数時間についてはほとんど知られていないが、船上で豪華な11品目のディナーを楽しみ、食べながら大英博物館の「不運なミイラ」に関する話など、多くの話を語っていた言われている。
「ミイラの呪い」で豪華客船が沈没したという話には「ワシントンポスト」紙を含むアメリカのマスコミの注目を集め、1912年5月に同紙に紀元前1600年にテーベで亡くなったエジプトの女祭司のミイラの悪霊のせいでタイタニック号が沈没したとする記事が掲載されている。
しかしこの後、この話は根も葉もないデタラメであることが明らかになった。
1985年に「タイタニック歴史協会」は船の積荷目録をすべて入手したとアナウンスし、船内に古代エジプトの遺物があったという記録はなかったと発表した。
「積荷目録は、こうした神話を完全に否定する」と同協会のチャールズ・ハース会長は当時マスコミに語っている。
またいわゆる「不運なミイラ」は持ち出されてはおらず、今でも大英博物館で展示されているという。ちなみに正確にはミイラではなく、遺体を模して作られた石膏で覆われた塗装された木材であるということだ。そして1990年までは博物館から運び出されたことは一度もないという。
なぜタイタニック号沈没事故に“ミイラの呪い”説が浮上して語られることになったのか。ツタンカーメン王の墓を発掘して5カ月後の1923年4月に亡くなったカーナーヴォン卿のストーリーに触発され、事故後数年を経て“ミイラの呪い”の物語が脚色されたのだろうか。このストーリーを捏造した者こそミイラに呪われたのかもしれない!?
参考:「IFLScience」ほか
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2024.10.02 20:00心霊タイタニック号は呪われていた?豪華客船を沈めた「邪悪な古代ミイラ」の伝説とはのページです。呪い、ミイラ、タイタニック号などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで