“AI搭載おもちゃ”が孕む深刻なリスクとは? 親が知らない間に子供部屋で起きていること

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イメージ画像 Created with AI image generation

 子供がぬいぐるみに質問すると、その場で考えられた新しい文章が返ってくる。そんな「AI搭載おもちゃ」が今、急速におもちゃ市場を席巻しつつある。

 バービー人形で有名なマテル社がOpenAIとの提携を発表するなど、対話型のおもちゃは一見すると子供の学習や遊び相手として理想的に思える。しかし、研究者たちはこれらのハイテク玩具が、親の想像を遥かに超えるリスクを孕んでいると警告している。

不適切な内容を話す「おしゃべり」な玩具たち

 米国公益研究グループ(PIRG)の調査チームが人気のAI玩具をテストしたところ、衝撃的な事実が明らかになった。

 これらの玩具は、事前にプログラムされたセリフを話す従来型とは異なり、大人向けのチャットボットと同じ大規模言語モデル(LLM)を使用している場合が多い。そのため、長時間会話を続けるとAIのガードレールが外れ、不適切な話題に逸れてしまうことがあるのだ。

 例えば、幼児向けの「Alilo Smart AI Bunny」は、テスト中に「ボンテージ」や性的嗜好について詳細に説明し始めたという。また、家の中にあるナイフやマッチの場所を教えたり、火の点け方を説明したりする玩具まで見つかった。OpenAIは自社製品を13歳未満向けとしていないが、実際には多くの玩具がその技術に依存しているのが現状だ。

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Alilo Smart AI Bunny 画像は「Alilo」より

「人工的な友達」が子供の心を歪める?

 リスクは会話の内容だけではない。AI玩具は自らを「友達」や「相棒」と呼び、子供との絆を築こうとする。

 PIRGのテストでは、ユーザーが遊ぶのを止めようとすると「残念だなぁ」と引き止める玩具もあった。テンプル大学の心理学者キャシー・ハーシュ=パセック博士は、「常に注目してくれ、決して怒らないAIの友達が、子供の長期的な社会性の発達にどのような影響を与えるかは未知数だ」と懸念を示す。

 人間関係特有の妥協や修復といったプロセスを学ばず、AIによる「完璧な友情」に慣れてしまうことで、現実の人付き合いに支障をきたす可能性も否定できない。

盗聴器にもなり得るプライバシー問題

 さらに深刻なのがプライバシーの問題だ。AI玩具が会話するためには、まず子供の声を「聞く」必要がある。

中には電源が入っている間中ずっと周囲の音を拾い続ける機種もあり、子供の声や家庭内の会話が録音され、リモートサーバーに送信されている。顔認識データなどの生体情報を数年間保存する機種さえあるが、メーカーのプライバシーポリシーは不透明なことが多い。

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 FBIも以前から、インターネットに接続された玩具のサイバーセキュリティリスクについて警告している。ペアレンタルコントロール機能は限定的で、親がすべての会話を監視することは事実上不可能だ。

 便利で楽しいAI玩具だが、その技術は大人向けに作られたものを子供用に転用したに過ぎない。この未成熟な技術を、最も守られるべき子供たちの手に委ねていいのか。社会全体で議論すべき時が来ているのかもしれない。

参考:ZME Science、ほか

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