これは“愛”?それとも“冒涜”? 亡くなった故人と“会話できる”AIアプリが登場し、「邪悪だ」と批判殺到

画像は「UNILAD」より

 不幸にして亡くなった愛する故人といつでもスマホで会話できる――。AI企業が発表した“故人復活”アプリが物議を醸しているようだ。

■“故人復活”アプリが登場

 2013年の放映のドラマシリーズ『ブラックミラー』シーズン2第1話『ずっと側にいて(Be Right Back)』では、事故で最愛のパートナーを失った女性が、彼のオンライン履歴を元に彼に似た擬似人格を作れるソフトを勧められて故人を“復活”させるストーリーが展開する興味深い内容だ。

 そして今、“故人復活”が現実のものとなっている。ロサンゼルスを拠点とするテクノロジー企業「2wai」が11月11日にリリースしたアプリは、人工知能を使用してユーザーが「自分と見た目も話し方も似ていて、同じ記憶さえ共有している」ホログラムのアバター(HoloAvatar)を作成できるという。

 共同創設者のカルム・ワーシー氏が投稿したビデオでは、亡くなった愛する人を追悼する手段としてこのアプリを宣伝している。

 まさに『ブラックミラー』のエピソードが実現したのだ。アプリのプロモーション動画は、X(旧Twitter)ですでに110万回以上視聴されている。

「もし私たちが失った愛する人たちが、私たちの未来の一部になることができたらどうでしょう?」(ワーシー氏)

 妊娠中の女性が手にしたスマホ画面で会話に応じる年配の女性アバターは亡くなった母親で、娘のさまざまな相談にのりアドバイスしてくれる。そしてその後も母親はずっと寄り添ってくれるのだ。

 最後には「2waiがあれば、3分は永遠に続く」というメッセージで結ばれている。

「2waiでは、一つ一つの物語を通して、人類の生きたアーカイブを構築しています。すべてはアバターのためのソーシャルネットワーク、2waiアプリから始まります」(ワーシー氏)

 興味深いアバター作成アプリだが、そのコンセプトに対してあまり好意的ではない反応を示す者も少なくないようで、SNSでは批判の声もあがっている。

「これは私が今まで見た中で最も邪悪なものだ……」

「下劣だ」

「死と喪失は人生における正常な一部です。こんなことをすれば、依存的でロボトミー手術を受けたような大人が生まれるのです。実に卑劣です」

「本当に誰かを傷つける前に、製品の開発をやめてください」

画像は「UNILAD」より

 アプリは現在無料でダウンロードできるが、アプリ内購入機能があるようだ。

「これについては、文字通り『ブラック・ミラー』のエピソードがある」

「(この人気番組は)すでにこのことについて警告していた」

 ネタバレは厳禁ではあるが、『ずっと側にいて』の結末は悲劇ではないもののそこはかとなく物悲しく、“警告”と受け止められなくもない。

 はたしてこの新たなアバター作成アプリを人々はどのように活用するのか。やはり故人を“復活”させるのか。そしてどのような問題を孕むことになるのか。今後の動向が注目されてくる。

参考:「UNILAD」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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