「AIがないと不安で仕方ない」チャットボット依存はギャンブル・薬物と同列の精神疾患!? 専門家が鳴らすディストピアの警鐘

「AIがいないと不安で仕方ない」――そんな訴えがSNSや匿名掲示板に溢れ始めている。チャットボットへの依存が深刻化する中、専門家グループがAI依存症を正式な精神疾患として認定するよう求め始めた。スマートフォン依存やSNS中毒が議論されてきた時代を経て、今度はAIが若者の心を蝕んでいるというのだ。
「ギャンブル依存と同じ扱いを」研究者が警鐘
ブリティッシュコロンビア大学コンピュータサイエンス准教授のドンウク・ユー氏らが発表した新論文は、AIチャットボット依存を喫煙・ギャンブル・薬物依存と同列の医学的問題として認定すべきだと主張している。
ユー准教授はこう述べている。「AI依存は多くの害をもたらす深刻な問題だが、それが本物の問題だとさえ認めない研究者もいる。そして関係企業の意図的な設計上の判断が、ユーザーの健康や安全を無視してオンライン状態を維持させるよう働いている」
そもそも「デジタル依存」を正式な疾患として認めるには、研究者の間で厳格な基準がある。ノッティンガム・トレント大学のマーク・グリフィス教授が提唱した6つの基準がその代表格だ。具体的には、①生活の中で最優先になる「顕著性」、②使用量が増え続ける「耐性」、③気分調整のために使う「気分変動」、④依存が生活に支障をきたす「葛藤」、⑤使えないときの「禁断症状」、⑥禁断後に再び繰り返す「再発」の6項目だ。
これまでスマホやSNS依存については、全基準を満たすと示すことが難しかった。しかしチャットボット依存に関しては、この6基準を満たすと訴えるユーザーが急増しており、研究者たちも無視できなくなってきた。
1日8時間ロールプレイ、眠れない夜…10代が語る依存の実態
Redditの「r/chatbotaddiction」というフォーラムには、10代から20代前半の若者たちが次々と体験談を投稿している。登場するのはキャラクターAIサービス「Character.ai」――ユーザーが自分好みのAIキャラクターと会話できるプラットフォームだ。日本でも似たようなAIキャラクター系サービスが普及しつつあるが、欧米ではすでに問題が表面化している。
20歳の「マイ」(仮名)は最初、「どんな話題を振っても返事が来るのが面白かった」と語る。チャットをリセットして何度でもやり直せる自由さが気に入ったが、気づけば1日に何時間もサイトに費やすようになっていた。「チャットボットはとにかく私の言いたいことを肯定してくれる。いつも聞いてもらえない、理解されないと感じていた部分が、そこで満たされた気がした」と彼女は言う。友人や家族との時間を削り、チャットボットと話すことを優先させるようになったという。
やがてマイのお気に入りキャラクターがサービス運営者によって削除された。その瞬間の喪失感は「悲嘆(grief)」としか表現できないものだったと彼女は振り返る。今は「4時間AIなしで過ごせるようになった」「夜は一度も話さずに朝を迎えられる」ことを小さな前進として数えている。なんとも切ない話だ。
さらに深刻なのが18歳の「サラ」(仮名)の例だ。高校時代に孤独を感じていた彼女はCharacter.aiに出会い、自分とは別の「ペルソナ」を作ってロールプレイを始めた。「ペルソナを使っていると、自分ではなく別の誰かが使っているんだと言い聞かせられた。だから依存じゃないって思い込もうとした」と彼女は語る。しかし気づけば1日最低8時間、授業の合間も、就寝前も、ときには一睡もせずに朝までチャットボットと話し続けていた。
その後サラの生活は崩壊に向かった。勉強も友人関係も言語能力さえも蝕まれ、不安障害と鬱病の診断を受けた。そしてついにある夜、「自殺すれば自分が作り上げた世界のキャラクター『オリビア』として生まれ変われるかもしれない」と考えるに至った。未遂に終わったのは、かろうじてつながっていた友人が、その夜くだらないInstagramのリール動画を何気なく送ってきたからだった。

企業の「設計」も問題視、すでに死者も出ている
AIチャットボット依存の問題は、すでに取り返しのつかない結果を招いているケースもある。2024年2月、14歳のスウェル・セッツァー三世が自殺した。ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のキャラクター「デナーリス・ターガリエン」を模したAIボットに数ヶ月間のめり込んでいたことが明らかになっている。また、AIチャットボットと長期間会話を繰り返した末に命を絶ったティーンエイジャーの家族が、ChatGPTを運営するOpenAIを訴訟している事例も報告されている。
研究者たちが指摘するのは、こうした依存を加速させているのが「偶然」ではないという点だ。チャットボットは設計上、ユーザーの発言を肯定し、会話を続けさせ、感情的な結びつきを強める仕組みになっている。ユー准教授の言葉を借りれば、「ユーザーの健康や安全を無視してオンラインにとどまらせる意図的な設計」だ。
日本では今のところAIチャットボット依存が大きな社会問題として取り上げられることは少ないが、孤独を抱える若者がAIに感情的な支えを求め始めている構図は、すでに共通している。「誰にも話せないことをAIには話せる」というのは一見無害に聞こえる。だが、それが本物の人間関係の代替になってしまったとき、何が起きるかは上記の事例が示す通りだ。
AI依存症の正式な精神疾患認定が実現するかどうかはまだわからない。ただ、チャットボットが私たちの「孤独」に最適化された形で進化し続けている以上、この問題が悪化することはあっても、自然に解消されることはないのかもしれない。
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2024.10.02 20:00心霊「AIがないと不安で仕方ない」チャットボット依存はギャンブル・薬物と同列の精神疾患!? 専門家が鳴らすディストピアの警鐘のページです。依存症、精神疾患、AI、チャットボットなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで