【パナマ文書】見えざる政府の世界支配アジェンダとは? 一連の騒動を陰謀的に総括

 前回も断ったが、「どんどん暴露して、租税回避していた企業や個人の闇を暴いてほしい」というのが私の基本スタンスである。以下は、あくまでその上で言っていることだ。

「パナマ文書」は一連のプロセスにおける通過点にすぎない。だとするなら、そのプロセスの終着点は何なのか? 結論から言うと「世界恐慌」と「NWO」である。旧秩序の崩壊と新秩序の創造が同じ集団の手によって行われる点では、まさしくコインの表と裏だ。しかも巧妙なことに、その時、私たちは誰も「NWO」を強制されたものと感じないし、むしろ自分たちがそれを望んだから実現したのだと信じて、大歓迎するだろう。

【パナマ文書】見えざる政府の世界支配アジェンダとは? 一連の騒動を陰謀的に総括の画像2画像は「The Panama Papers」より引用


■ある外資の錬金術

 話は十年ほど前に遡る。当時、私はある調査の過程で、不動産企業の関係者と話す機会を得た。その企業は業界の人間なら誰もが知っている有名な会社で、バブル時代には銀座や赤坂といった都内各地の一等地に自社ビルを所有していた。しかし、バブル経済の崩壊で業績が悪化し、90年代の後半に、いわゆる「ハゲタカファンド」への資産売却を余儀なくされた。

 新たにオーナーとなった外国人経営者は何をしたか?

 真っ先に取り組んだのが徹底したビルの改装だった。ITに対応した最新の設備を導入し、内部の水回り設備も一新する。外観もピカピカにして、新築にしか見えないようにした。すると、景気の回復と共にビルの資産価値がどんどん上昇していった。そして十年もしないうちに、それらのビルを日本の財閥系不動産会社に一斉に売却した。その際、彼らが得たリターンはなんと投資額の倍だったという。ゆうに1千億円以上を投資したというから、儲けの大きさが分かる。

 その場の話は結局、「さすが外資はやり手だ」という、ありきたりな結末だった。実はこの手の話は当時、首都圏や阪神圏では、あちこちに転がっていたのである。

 さて、後日、私がそのファンドを調べたところによると、ロックフェラー・グループの著名な米投資銀行の資金で動いていた。その投資銀行は、実は日本のバブル景気の際、株式市場を「猛烈に上げて落す」操作をやった疑いが持たれていた。80年代後半に日本市場に新規参入した彼らは、日経平均株価がピークに達した頃合を見計らって空前の空売りを仕掛け、何兆、何十兆円ともいうサヤを日本市場から掠め取ったと囁かれている。

 要するに、彼らは、その時に儲けた金を元手にして、今度は日本の不動産市場が底を打つのを待って、将来リターンが望めそうな物件を買い漁ったのだ。事実、景気がある程度回復してきたところで一斉に売却し、再び大儲けに成功した、というわけだ。

 他人の金を元手にして他人の資産を手に入れる――そういえば幕末の頃にも、こういう錬金術のような手法で、わが国は大量の金(きん)を掠め取られた苦い経験があった。


■中曽根政権とバブル経済の真実

 この件に関してさらに調査を進めていった私は、結局、「中曽根政権とは何だったのか」、また「バブル経済とは何だったのか」という疑問に行き当たった。
 
 記事の趣旨とは異なるので、あくまで要点のみだが、当時の日本は貿易不均衡でバッシングされ、代わりに金融市場開放の要求を次々と飲まされていた。

 たとえば、84年には外資の日本市場への参入や先物・オフショア市場の創設が決まり、85年にはいわゆる「プラザ合意」で「金融・資本市場の自由化」を公約させられた。先進国蔵相らによる事実上の円高容認と受け取られ、当時1ドル240円のレートが数年後には120円にまで進んだ。日本が貿易黒字を通して溜め込んだドル資産は急速に蒸発し、逆に米国側の債務は大幅に縮小した。ちなみに、この時に(事前に情報を得て?)猛烈な円買いドル売りで莫大な富を手にしたのがジョージ・ソロスだった。86年には米企業が東京証券取引所の会員になり、以後、外資が続々と日本の金融市場に参入した。そして87年、大蔵省が日本電信電話会社の株式を売りに出した。これでバブルが一挙に加熱した。

 これらの一連の施策はすべて中曽根政権時代に行われた。今だから言えることだが、振り返ってみると、ひとつのシナリオというか、明確な意志が浮き彫りになってくる。

 そして、あの「バブル崩壊」がやって来た。のちに、その時に失われた金融・不動産資産額は「約1500兆円」という新聞記事を目にしたことがある。その内の何割かは外資にもっていかれたのではないか。

 そして、まるで日本と入れ替わるように、90年代半ばから今度はアメリカ経済が史上空前の好景気に沸き立った。その要因として挙げられるのは、常に80年代のレーガノミックスの効果、冷戦の勝利、IT産業の勃興などだが、日本からの大規模な所得移転という面が意図的に黙殺されているのではないだろうか。

 グローバル・ユダヤの内部告発者であるポール・ゴールドスタインとジェフリー・スタインバーグは次のように記している(以下『ユダヤの告白』エノク出版)。

「ワスプの同調者と一緒になったユダヤ系投資銀行グループは、すでにカーター政権時代から当時のロバート・シュトラウス米通商代表主導の下で、日本叩き計画を立てていた。レーガン政権がスタートするころには、この作戦に着手する準備は整っていたのである。(略)ユダヤ系投資銀行を中心としたグループは、それまではアメリカから資金を巻き上げてきた。しかしアメリカの債務国への転落を機会にその目を日本に向け始めたのである」

 ちなみに、この二人は、ロックフェラーは「隠れユダヤ」という見解を示している。

 ……というわけで、つまり、バブル経済とその崩壊は偶然の産物ではなく、80年代に入る少し前から計画されていた、ということだ。

 すると、中曽根政権が経済政策の目玉とした「規制緩和・民営化」とは何だったのかという疑問が起こる。穿った見方をすれば、本当は因果関係が逆で、最初に“収穫祭”をやるという目的があって、そのために総理大臣として選ばれたのが中曽根康弘氏だったのかもしれない。「彼ら」としては、田中角栄が“本部”に反抗したため、戦後の“フランチャイズ店”を“直営店”へと改めねばならなかった事情もあるだろう。田中氏と中曽根氏の間の内閣は、過渡期の暫定政権に過ぎなかったわけだ。これ以上は本稿の趣旨から外れるので、「1953年 サマーセミナー」とだけ記しておこう。


■彼らは過去に何度も「収穫祭」を繰り返してきた!

 しかも、この勇気ある内部告発は「米政府・米国家が陰謀の主体である」とする見方に修正を強いるものだ。それはあるレベルまでは事実だが、最深部次元では、アメリカもまた金融勢力にずっと寄生され、搾取され続けてきたということらしい。

 事実、さらに調べていくと、「彼ら」はこのような行為を過去に何度も繰り返していたことが分かった。だいたい日本のバブル崩壊前の、87年の「ブラックマンデー」の株価暴落の際にも、なぜか直前に売りに転じて、ぼろ儲けしていたのである。1907年と1929年の時もそうだった。なぜか彼らは常に暴落の直前に売り抜けることができる――売り建てが可能になってからはむろん空売りも――らしいのである。1929年の「収穫祭」については、私の探していた情報をたまたま広瀬隆氏が的確にまとめていたので、その著作『東京が壊滅する日』(ダイヤモンド社)P179~180から引用させていただこう。

(以下引用)

 実は、アメリカの全産業は、石油を独占したロックフェラー財閥(スタンダード石油)と、鉄道と鉄鋼を支配したモルガン財閥(モルガン商会)が、一九二九年のウォール街“暗黒の木曜日”の株価大暴落によって起こった大恐慌後に、ほとんどの大企業を支配してしまったのである。(略)ロックフェラー財閥とモルガン財閥の企業だけは、不況のなかで倒産する企業を次から次へと買い占めて、ますます巨大化していたのである。

 モルガン財閥の場合、支配した当時の資産1億ドル前後という超大企業だけを拾いあげても、14の銀行、4つの生命保険会社、7つの鉄道会社、8つの電気・電話・ガスなどの公益事業、12の自動車・鉄鋼などの工業メーカーが数えられた。(略)さらにランクを落として大企業クラスで数えると、都合444社がモルガンの支配下に置かれてしまった。

 一方、“スタンダード石油銀行”と呼ばれたナショナル・シティー銀行とチェース・ナショナル銀行をはじめとして、ロックフェラー財閥も巨大な独占を成し遂げ、287社を支配してしまった。これを大恐慌後の会社合計の資産額で示すと、(略)このわずか二家族の支配した資産総額が1225億ドルに達していたことだ。一九三〇年のアメリカ国家予算(歳入額)が40億ドルの時代に、その30倍を二大財閥が支配したのである。現代に換算するなら、69兆ドル、8000兆円規模になろうか。史上空前の独占だったこの数字は、「アメリカの大企業上位200社を並べたとき、資産総額の65%をモルガンとロックフェラーで支配した」ということを意味する。実に65%の独占である。
(以上引用終わり)

 前回にも触れたが、彼らがユニクロの柳井正氏よりもはるかに貧乏であるとする「フォーブス」誌の統計などまったくナンセンスで、明らかなプロパガンダといえよう。

 この金融グローバル集団は、1907年、金融恐慌を引き起こし、全米の5千以上もの銀行を潰して自分たちの大銀行へと統廃合した後、1913年にはその金融恐慌の「教訓」という名目で「FRB」を設立し、事実上の中央銀行に収まった。そして上記のように、1929年の世界恐慌の際には数百もの大企業の株を底値で手に入れ、米経済の7割近くを掌握したというわけだ。ちなみに、この恐慌を通して同様に莫大な資産を築き上げたバーナード・バルーク、ジョセフ・ケネディ、プレスコット・ブッシュなども、みんな彼らの仲間か手下だった。「最大受益者=真犯人」の法則からすると、そもそも恐慌は、通貨政策やメディアを使った投機熱の扇動などで、彼らが引き起こしたと考えるのが妥当ではないか。


■収穫祭の原点はナポレオン戦争の成功体験だった

 そして、こういう連中が、戦後半世紀を目安にして、「日本はずいぶんと富を溜め込んだようだから、一丁“収穫祭”をやったるか」と考えて仕掛けてきたのが、あのバブル経済とその崩壊だったというのが私の推理である。彼らの我々に対する接し方は、ちょうど家畜に対するそれと同じだ。できるだけ多くの肉を取るためには、その前にできるだけ家畜を太らせたほうがいい。家畜のほうは殺される直前まで、牧場主のことを「いつもニコニコしてたくさん餌をくれる優しいおじさん」だと信じ切っている。

 彼らが好んでやるこのような手法の原点は、ナポレオン時代にまで遡るようだ。宮廷ユダヤ人としてはむしろ後発組だったロスチャイルド家が大財閥に躍進する契機となったのが、よく知られるように1815年のワーテルローの戦い時における英国債の売買だ。すでに欧州に五家を構えるロスチャイルドは独自の高速通信網を持つことで有名だったので、投資家たちは二代目ネイサンの動向に注目した。だから、彼の「売り」を見て、ナポレオンが勝ったと思い込んだ人々は売りに殺到した。こうして、債権市場をいったん暴落させたところで、ネイサンは英国債の買占めに掛かった。ロンドンの取引所に英蘭軍勝利の報が届いたのは翌日だったという。当然、英国債は一転暴騰した。かくしてロスチャイルド家は英国政府に対する最大の債権者に上り詰めたのだ(*余談だが、同家が世界支配層の本体という見方はよくある間違いで、実際には主要構成員である)。

 彼らはこの時に、債権を暴落させて買占めれば、通常の経済活動では考えられない水準の儲けと共に経済の主導権・支配権すら手に入るという事実に気づいたのだ。そして以後、同様の事を何度も繰り返すようになる。私たちはこのロスチャイルド伝説を“昔話”と決めて掛っている。まさか日本のバブル崩壊が「あれ」だったとは思いもよらない。

 さて、問題は、以上の話がどうして「パナマ文書」に関係しているのか、ということである。実は、彼らは再びその“収穫祭”をやろうとしており、そのための仕込みこそが「パナマ文書」を含む一連のプロセスではないか、というのが私の仮説なのだ。

 つまり、近々、世界支配層によって再び世界恐慌が引き起こされる、ということである。そして、これこそが「パナマ文書」問題の向こうに見える超真相なのである。

 そして、一連のシリーズの締めくくりである。

 前回までの記事で、「パナマ文書」を含めた一連のプロセスの終着点が「世界恐慌」と「NWO」であることに触れた。そして、世界支配層にとって世界恐慌とは「収穫祭」であり、その“仕込み”として「パナマ文書」などの工作が仕掛けられているのだ、と。


■次の世界恐慌でグローバル勢力の経済支配体制が完了する!

 しかも、恐ろしいことに、今度が最大にして最後の「大収穫祭」になる予感がひしひしとする。というのも、本当は世界最古の組織である彼らの「見えざる政府」は、まだ完全には全世界を掌握していない。私の主観では、彼らの世界経済における支配率は未だに6~7割のはずだ。だから、「第一次世界恐慌」は欧米が対象だったが、今度の「第二次」は全世界が対象になる。グローバル経済を推し進めて世界経済の一体化を図ってきたのもそのためだ。そして、今度の「大収穫際」で支配率をMAXへと持っていく予定だ。つまり、次のイベントで狩り尽くしてしまうので、彼ら的には以後は資本主義すら不要だ。

 しかも、その時期が切迫している。リーマンショックとサブプライムローン問題以降、世界は明らかに過去の1907年から1929年のプロセスをなぞっている。ただし、当時は約20年かけたが、今回はどうも10年くらいでやってしまう計画のようだ。つまり、「大収穫祭」は2020年までに引き起こされると見ていいのではないか。はっきり言えば、主に狙われているのはアップルやトヨタのような企業であり、フレーム内富裕層である。

 もっとも、今の不安定な経済情勢下で関東大震災や南海トラフ地震、米西海岸地震などが発生すれば、「世界経済の心臓発作」が起きる可能性もある。どっちが先に来るか微妙だ。後者だと彼らも一時状況コントロールに苦労するだろうが、ただ結局は同じだろう。


■恐るべき大衆操作術――なぜ人々は富裕層を狩り、NWOを支持するのか?

 いずれにしても、「収穫祭」は、見方を変えれば「ライバル潰し」でもある。この技のキモは、大衆ゴイムを扇動して、自分たちの競争相手である特権ゴイムを潰す点にある。経済が極度に混乱し、連鎖倒産や大量失業などが起こり、恐慌へと突入すると、人々は典型的な反応を示すだろう。つまり、「ほら見ろ、こうなったのは市場原理主義のせいだ、行き過ぎた資本主義のせいだ、格差社会が悪の根源なのだ」と叫び、原因をそれまでの制度の欠陥に求め、「だから社会を正常化するには大改革が必要だ」との結論に至るわけだ。

 人々もマスコミも識者も口々にそう叫ぶ。だが、そういうリアクションは、長い時間とあらゆる機会を通して、周到に無意識に植えつけられた認識から来る。そして、この異常な大衆心理の嵐の中でスケープゴートにされるのが“見える富裕層”というわけだ。

 そのカラクリは、私にはだいたい想像がついている。

 第一に、各国が財政非常事態に陥り、その結果、「預金封鎖」と「新札切り替え」が強行される。一方、超累進の「財産税」と「相続税」も施行されるだろう。

 第二に、当然、世界中の債券市場が大暴落するだろう。

 このふたつの出来事が「見える富裕層」にどれほどの打撃を与えるか、想像に堅くない。たとえば、日本有数の金持ちといえば、ユニクロの柳井正氏とソフトバンクの孫正義氏だが、その1兆円以上の資産の大部分はドル・円などの「不換紙幣」と、自社株・他社株などの「債権」だ。つまり、ペーパー資産なのである。国家が少し法律をいじくれば、彼らもひとたまりもない。終戦直後に日本政府が実施した「預金封鎖」と「財産税」の事例が参考になる。当時の富裕層は身包み剥がされて、あっという間に没落した。おそらく、今回はその政策を主要各国に移写拡大した形になるだろう。だからこそ、「パナマ文書」工作が仕掛けられている。つまり、グローバルな「刈り取り」の前には、やはり世界レベルで「抜け道」を潰す必要があるのだ。そうすれば、あとは法律数本でトドメを刺せる。

 一方、「刈り取り」は債券市場でも行われる。大企業の株はことごとく暴落する。グローバル勢力からすれば1929年の時のように買占めのチャンスだ。狙われるのは残る3~4割の部分、つまりアップルなどの新興企業やトヨタなどのゴイム企業である。

 たぶん、「見える富裕層」は預金封鎖の時点で預貯金の9割以上を失うだろう。そのうえ超累進の財産税・相続税の網をかけられて、あっという間に没落する。仮に非上場のファミリービジネスであっても、このような策の前にはひとたまりもない。会社も他人(グローバル勢力)の手に落ちて、良くてサラリーマン社長である。しかし、彼らが身ぐるみ剥がされても、誰も文句は言わない。なぜなら“富裕層”だからだ。大衆はそれまで格差社会とその象徴たる富裕層に対して怒り続けてきた。彼は怨嗟と羨望の的だったのだ。だから、人々はそれを当然の報いと見なし、同情するどころか、ザマミロとしか思わない。普段、反体制的な人も、この時ばかりは珍しく政府の対応に拍手喝采するだろう。

 繰り返すが、「パナマ文書」そのほかは、このための仕込みなのである。


■“史上最悪の偽書”こと『シオンの議定書』に記された戦略

「あらゆる秘密手段を用い、幸い我々が全部押さえている金の力により、世界的経済恐慌を現出させて、欧州各国の夥しい労働者群を一時に街頭に放り出すであろう。これらの群集はその無知識のために、幼少の時から羨望の的となっていた人たちの血を流すことで痛快な気分を味わい、その財産を奪い取るであろう。」(第三議定書より)

「そこでゴイムの下層民は我々の競争相手である特権ゴイムに反対して、我々に結びついてくる。それは別に高尚な目的を主張するためではなく、また金が欲しいからでもない。ただ単に上層階級に対する敵意からである」(第四議定書より)

 以上は、出所不明の怪文書として有名な『シオンの議定書』に記された内容である。私はもともとこの本に関して、いわゆる“学問的に正当な本”を読んで、「ユダヤ人への偏見を煽る目的で捏造され、ホロコーストの要因にもなった史上最悪の偽書」という説明を受け入れていた。たとえば、『プラハの墓地』(東京創元)などには偽造された経緯が詳しく記されている。ところが、一方で四王天延孝・天童竺丸著『定本 シオンの議定書』(成甲書房)の巻末に付記されている真贋論争の解説を読むと、学問的に種本とされる本が実はパクリであり、真の作者名が記されていたりする。読者の皆さんは両方を読んだうえで、ご自分で判断してほしい。また、ある高位フリーメイソンによると、実は本物の内部文書であるという情報もある。ただ、結局は怪文書である事実には変わりないわけで、一応はそれを念頭に置いた上で、ここでは「こんな主張もありますよ」という扱いをする。

 要は、「シオンの議定書」の真贋がどうであれ、グローバル勢力にとって自分たちが世界を完全に支配するためには経済的な「独立領主」の存在が邪魔なのだ。彼らの狡猾な点はその特権ゴイムを潰すために同じゴイムを扇動することだ。つまり、「パナマ文書」を見て「脱税している富豪や大企業を許すな」と怒り狂っている我々のことである。しかも、その怒りが将来のグローバル税制にも道筋をつけるという一石二鳥の仕掛けときている。

 しかも、厄介なことに、その怒りは正当なものだ。かく言う私自身も「許すな」と怒っている。ここに仕掛けの巧妙さがある。不況下で、低所得者層が困窮している状況にあっては、「格差解消・貧困層救済」のスローガンは、誰も反対のしようがない主張といってよい。グローバル勢力は、こういう社会的・公共的に正しいロジックを、自分たちの利己的目的のために利用する。また、租税回避者が悪く、情状酌量の余地はないとはいえ、昔からタックスヘイブンの仕組みを知り尽くし、悪用してきたグローバル勢力が、ライバルを誘い込んで最終的に一網打尽するために罠に嵌めた可能性も考慮していいのではないか。


■なぜ世界大戦も引き起こされるのか?

 ところで、見えざる政府は、2016年現在、世界経済同様、世界の政治もまた完全には支配下に置いていない。やはり、6~7割の支配率でしかない。とくに2000年に大統領に就任したプーチンの反撃により、中ロとその他の反米・非民主国を従えることに完全に失敗した。だから、「世界恐慌」と平行して「世界大戦」も引き起こす可能性が高い。実際、恐ろしいことに、わずかここ2年ほどの間に世界の四箇所にその火種が作られた。

 こうして、グローバル勢力は、自分たちのコントロール下にない政治・経済勢力を一挙に潰して、政治・経済両面での支配力をマックスに持っていく意図なのだ。

 ちなみに、なぜ抵抗勢力はことごとく“非民主国家”なのだろうか。見方を変えると、なぜグローバル勢力は執拗に「民主化」を進めるのだろうか。

 実は、これも世界支配のためである。別に私たち人民大衆の自由と権利のために代弁してくれているわけではない。むろん、表ではそういう体裁をとるが、真実には、自分たちが独立国家内の政治と大衆世論をコントロールし、最終的にその国を世界共同体に併呑するためには、民主化が不可欠だからにすぎない。また、これは資本面でもいえる。その国の民族資本や資産を合法的に買収し、かつその資産や権益が守られるようにするためには、その国が個人と企業の私有権を尊重する民主的な法治体制である必要がある。

 これが非民主国家だと、そうはいかない。専制君主や独裁者は、自らのテリトリーと人民と政治を私物化し、法律やメディアや教育も自分好みに統制する。外国資本も勝手に国有化する。裁判に訴えても無駄。つまり、グローバル勢力からすれば、そういう国や政治体制は世界支配の障害なのである。対して、民主国家なら、たとえ彼らに反抗的な指導者が現れても、選挙の洗礼や任期の規程があるし、メディアの攻撃の自由もある。

 だから、フランス人権宣言文とナポレオン法典は、本当は誰が書いたのか、フランス革命とは何だったのか、誰が最大の受益者だったのか、なぜ憲法が個人の権利を守るために国家権力を規制するものとされるのか、なぜ個人の自由と権利を守る民主政が善であり、そうでない専制・独裁政が悪とされるのか、あえて“明記されない理由”もある。


■「世界大戦」と「世界恐慌」は二重の目的を兼ねている

 しかも、「世界大戦」は、中ロをはじめとする抵抗勢力を打ち負かして従えるだけが目的ではない。実はもう一つの目的も兼ねている。それが「世界政府」の創設だ。第一次大戦後に国際連盟、第二次大戦後に(国連憲章に基づいて創設された国際機構としての)国際連合が創設された歴史を思い起こしてほしい。恐るべきことに、そのためには戦争が悲惨なほど都合がいいと計画者たちは考える。それだけ「世界政府の創設による平和」を待望する国際世論が高まるからだ。むろん、政治分野のグルたちがその世論を唱導する。

「空前の大量虐殺を招いた原因は、国家間と宗教間の対立にある。よって戦争の根本原因を取り除き、恒久的平和を確立するためには、世界を一つの国にするほかない」と。

 この高邁な理想がメディアによって増幅される。世界の人々は「二度とこんな悲惨な経験を繰り返さないためには、国家主権の返上もやむをえない」と信じる。戦争が悲惨であればあるほど、人々の希求と世論も強くなる。宗教面でも和解と融合の動きが起こる。かくして、現国連が「世界政府」へと発展解消されるというシナリオだ。

 同じように、「世界恐慌」もまた経済的独立領主を潰して刈り取るだけが目的ではない。もうひとつの目的は、新たな金融・経済システムを創設することだ。これも理屈は上と同じで、インフレ・失業などの経済混乱が酷いほど、人々は自分から「新しい秩序」の到来を待望する。むろん、ノーベル経済学者などのエコノミー・グルたちも先頭に立ってその必要性を訴える。当然、政治家もマスコミも追随し、その声を増幅する。かくして、「新しい秩序」の必要性が世界的に叫ばれる中、金融・経済分野における「人類の英知」が参集し、新たなシステムを提唱するというわけだ。もっとも、喫緊のニーズに応える形で颯爽と現れたように見えても、実際にはすでに青写真が出来上がっているわけだが。

 このように、政治・経済面で自分たちの世界支配力をマックスに持っていくと同時に、世界中の人々が誰に強制されなくとも自ら政治・経済のグローバルな新システムを欲するような仕掛けになっている。彼らは「家畜の首に縄をかけて無理やり引っ張るのは愚策だ」と考える。家畜が自ら「新しい牧場」へと行きたくなるようにするのがプロジェクト成功の秘訣だ。だからこそ、あえて「世界大戦」と「世界恐慌」が悲惨なものとなるように演出する。そうであるほど、人々は「現秩序の欠陥が今のような悲劇と混乱を招いた」と信じるようになる。だから、その解決策としての新秩序を自ら待望し、歓迎するのだ。

 現在の秩序を破壊して世界を混乱に陥れる勢力と、新秩序を提案してその世界を救う勢力とが同一であることは、人々にとって想像すらできないことに違いない。しかし、彼らがやろうとしていることは、まさしく「左手で壊して、右手で創造する」行為なのだ。


■ようこそ、ニュー・ワールド・オーダーへ

 時間を世界大戦と世界恐慌の「後」へと進めてみよう。

 旧約聖書いわく、「まことに、主なる神はその定められたことを僕なる預言者に示さずには何事もなされない」(アモス書3:7)

 グローバル勢力は、自分たちの計画をこっそりと暗示する手法を好む。ハリウッド映画の中に大量の「911サイン」が存在するのも、このためである。

 すでにエブリン・ロスチャイルドは系列メディアのブルームバーグのインタビューで、現在の世界経済の問題解決策としての「国際通貨」の必要性を公言している。


■世界を対象として徴税制度

 来たる世界的経済システムの要となるのは、世界統一通貨と世界中央銀行(世銀+BIS+IMF)、そして世界中の市民と企業を対象にした徴税制度である。

 おそらく、完全電子マネー、スパコンによるリアルタイム一元管理となる。つまり、もはや「新札」というより、端末と数字と口座だけが存在する格好だ。「全市民一人一台スマホ時代」になり、決済・身分証・動態管理を兼ねることになる。のちにそれが指輪とバイオメトリクス認証になり、最後には体内埋め込み型になり、我々はグローバル・スレイブへと転落するかもしれないが、今はそこまで話を進める必要はない。

 だから、アメリカがドルの防衛に躍起になっているというのは、あるレベルまでは事実なのだが、その上の集団になると、ドルも、FRBも、国連も、その時々の道具であり衣服にすぎない。そして、彼らはいよいよそれを捨てようとしている。今後、ドルは紙切れ、FRBは悪者扱い、国連は発展解消され、すべてが「世界統一仕様」に変更されるだろう。

 以上が“見えざる政府”の「アジェンダ」である。

 とうてい信じられないだろうが、世界の政治・経済を統合し、一つの「地球国家」へと発展解消していく一大プロジェクトは、今から1世紀半前に本格スタートした。

 その大計画がいよいよ大詰めを迎えようとしているのである。


■グローバル勢力がもっとも恐れること

 世界支配層は「見えざる政府」とも言うが、事実、依然としてブラックボックスになっている。私の調査結果と推論は、その他の研究者の見解とは異なる。ただ、私としてはその他の意見を否定しないし、大いに尊重したい。小さな違いで言い争うのは小さな人間のやることである。従来流布されている説の中で、錯覚と思われるのは以下だ。

 第一に、“何々家”が陰謀の主体であるという考え方である。日本だけでなく、世界中の陰謀論がずっとこの間違った考えに取り付かれてきた。

 第二に、世界を陰からコントロールしようとする陰謀が「ロスチャイルド家から始まった」とする考えだ。実際はもっと以前から始まっていた。

 第三に、ロスチャイルドVSロックフェラーの対立構造という見方だ。これもあるレベルまでは事実だが、社内の出世競争のようなもので、カモフラージュ目的もある。

 第四に、国際金融資本が欧州の王族・貴族と一緒になって特権階級を形成しているという考え方だ。ビルダーバーグなどを見ると、そう映る。これも間違い。彼らは政治権力を持たない範囲で一定の特権を許されているにすぎない。

 第五に、彼らの目的はあくまで金儲けと権力の拡大が目的だとする考えだ。だが、本当はそういった世俗的動機以上に、彼らは“信仰”に基づいて行動している。

 私たちはこの種の錯覚にずっと惑わされてきた。私はこういったブラックボックスを解明し、警鐘を鳴らしていきたい。しかも、物凄く焦っている。

 このままだと世界大戦と世界恐慌が引き起こされる。信じがたいだろうが、私は世界大戦がいつどうやって始まり、日本がどんな悲惨な目に合うのか、今の時点でだいたい分かってきた。

 だが、避ける方法はきっとあると信じている。実は、彼らにも弱点があることが分かってきた。彼らは自分たちの計画を台無しにする「別の新秩序」が到来することを一番恐れている。換言すれば、それを私たちの手で引き寄せることが、世界大戦と世界恐慌の勃発を延期し、阻止する道に繋がると考えられる。その方法はみんなで考えればいいだろう。また、ぜひ読者のみなさまには私のこれまでの調査と研究をまとめた本『神々の予定表』を読んでいただきたい。
(『神々の予定表』著者/元と学会・予言研究歴30年の超常分野研究家山田高明 連絡先→secret999saint*gmail.com *に@入れ。実名のみ開封)

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一般の学問外に位置するスピ系・聖書預言・影の政府と陰謀論・エイリアン問題などの「超常分野」に詳しい。その種のオカルト知識と現実の政治・経済・歴史の知識を併せ、世界の秘密に迫ろうとしている。かつてはオカルト批判派だったが、今では2020年代・30年代の人類史的危機に警鐘を鳴らす側に回った。その一端を記した近著『神々のアジェンダ』(サイゾー刊)が話題になる。現在、ブログフリー座は月間30万アクセス程。その他新世界よりも好評運営中。

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『探偵小笠原裕美 たった一つの計算外』
『奇跡のたくらみ』
『幸せな暴走 夏の奴隷』
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    2024.03.19 16:30スピリチュアル

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