キノコを使った「生きたコンピュータ部品」が開発される! 菌糸が“メモリ”として機能することを確認

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「シイタケ」と聞いて、まず思い浮かべるのは何だろうか。鍋の具材、バター醤油焼き、あるいは出汁の香り……。だが、これからの時代、シイタケの居場所はキッチンの冷蔵庫ではなく、PCの筐体の中になるかもしれない。

 これは単なるジョークではなく、私たちのデジタル社会が抱える「廃棄物問題」や「エネルギー問題」を一挙に解決するかもしれない、極めて真面目かつ画期的な研究なのだ。

 オハイオ州立大学の研究チームが発表した、驚くべき「キノコ・コンピュータ」の可能性について、少し噛み砕いてお伝えしたい。

食卓の主役が「メモリ」に変わる? シイタケの新たな才能

 オハイオ州立大学の研究者たちが開発したのは、なんと生きた菌類を利用したコンピュータ部品だ。彼らが目をつけたのは、スーパーでもおなじみの「シイタケ」を含む食用キノコである。

 研究チームは、シイタケの菌糸体(きんしたい)――普段私たちが食べているカサの部分ではなく、土の中に張り巡らされる根のようなネットワーク――を培養し、特殊な処理を施すことで、「有機メムリスタ」として機能させることに成功したという。

 ここで「メムリスタ(Memristor)」という聞き慣れない単語が出てきたが、簡単に言えば「記憶(Memory)」と「抵抗器(Resistor)」を組み合わせた造語で、「過去に流れた電気信号を記憶できるスイッチ」のようなものだと思ってほしい。

 今のコンピュータに使われている半導体チップの役割の一部を、このキノコが担えるというわけだ。無機質なシリコンチップの代わりに、生きている(あるいは生きていた)有機物が計算処理を行う。SF映画やバイオパンクの世界観そのものではないだろうか。

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画像は「SciTechDaily」より

脳のように働くキノコのネットワーク

 実験では、乾燥させて耐久性を高めたシイタケに電子回路を接続し、電気刺激を与えて性能をテストした。すると、シイタケで作られたデバイスは、従来の半導体チップに見られるような「記憶効果」を再現したという。

 驚くべきはその精度だ。この「シイタケ製メモリ(RAM)」は、毎秒5850回の信号切り替えが可能で、約90%の精度を記録した。もちろん、最新のゲーミングPCに搭載されているメモリと比べればまだ改善の余地はある。電圧の周波数が上がると性能が落ちるという弱点も見つかった。

 しかし、ここからが面白い。研究チームのジョン・ラロッコ氏によれば、「実際の脳と同じように、回路に接続するキノコを増やせば増やすほど、その弱点を補える」というのだ。

 人間の脳神経が互いにつながり合って複雑な処理をするように、キノコの菌糸ネットワークも連携して演算能力を高めることができる。まさに「生きたコンピュータ」と呼ぶにふさわしい挙動だ。

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画像は「SciTechDaily」より

「コンポストでPCを作る」時代が来るか

 なぜわざわざキノコを使うのか? その答えは明白で、「持続可能性(サステナビリティ)」にある。

 現在の電子機器は、レアアースなどの希少な鉱物に依存しており、廃棄されれば大量の電子ゴミとなる。しかし、キノコなら生分解性があり、土に還る。製造コストも安く、栽培も容易だ。

 ラロッコ氏はこう語っている。

「自宅のコンポスト(堆肥)の山と、自作の電子工作キットさえあれば、誰でもキノコ・コンピューティングを始められる可能性がある」

 考えてみてほしい。使い終わったスマホやPCを、リサイクル業者に出すのではなく、庭の土に埋めて肥料にする未来。あるいは、森そのものが巨大なサーバーとして機能するような世界線。これまでの「ハイテク=無機質」という常識が、根本から覆されるかもしれない。

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テクノロジーと自然の融合

 この研究はまだ初期段階であり、すぐに私たちのPCがシイタケ製になるわけではない。しかし、研究チームはこの技術が将来的に、ウェアラブルデバイスや宇宙開発、あるいは自律型システムの性能向上に役立つと見込んでいる。

 日本人は古来より、八百万の神として自然物に魂を見出す感性を持っている。「キノコが計算をする」という話も、欧米的な「制御」の文脈より、日本的な「自然との共生」の文脈で捉えると、案外すんなりと受け入れられるかもしれない。

 次に鍋をつつくとき、シイタケを見つめて少し想像してみてほしい。その菌糸の奥底に、人類の未来を支える演算能力が眠っているかもしれないことを。

参考:SciTechDaily、ほか

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