天皇陛下の「お気持ち」は改憲派を完全否定するものだった?“現人神”化を目論んだ安倍はブチ切れか?
天皇陛下が「生前退位」に関して、ご自身のお言葉をおさめたビデオメッセージが本日8日午後3時に公表された。「退位」という言葉こそ聞かれなかったが、陛下のご意志は固いようだ。
歴史上最後の生前退位は1814年の光格天皇にまで遡る。陛下の退位が成立すれば、実に200年ぶりの生前退位ということになるが、伝統を重んじる皇室にあって、これほど重い決断をされた背後に一体何があったのか? トカナ編集部が追った。
■安倍政権は「怒りに近いほどのはがゆさ」か?
先月、陛下の生前退位のご意向を伝えたのはNHKだった。一部報道によると、今回の生前退位をめぐって、政治関与を疑われることを恐れた宮内庁が、陛下の口から直接退位について言及されることを避けるため、NHKが陛下のお気持ちを代弁する形で公表したという。
皇室関係に詳しいジャーナリストはこう語る。
「陛下の生前退位のご意向が公表されることは、国民のみならず政府にとっても寝耳に水だったようだ。その証拠に政府は6月、杉田和博官房副長官をはじめ、厚生労働省や警察庁など旧内務省系官庁出身者を中心とした極秘チームを設置。退位の手続きから、憲法が定める象徴天皇制との整合性などについて急ピッチで意見調整を行い、すべてを“極秘に”すすめようとしていた。しかし、陛下の強いご意向のもと、陛下のお気持ちがNHKの記者を通して公表されることが発表されたのだ。国民的議論に発展させたくなかった政府は、こうした動きに対して、怒りにも近い歯がゆさを感じているともっぱらの噂だ」
■陛下のご真意を読み解く
では、政府を“出し抜いた”かのようにもみえる陛下のご真意はどこにあるのだろうか? 実は、陛下はこれまでにも憲法改正に意欲的な安倍政権に対する反発ともとれるお言葉を何度も口にしてきている。
たとえば、2013年陛下の80歳を祝う誕生日会見では、
「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました。戦争で荒廃した国土を立て直し、かつ、改善していくために当時の我が国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています。また、当時の知日派の米国人の協力も忘れてはならないことと思います」
と述べられ、現行憲法を「守るべき大切なもの」と位置づける明確な擁護姿勢をみせている。また、決してGHQによって押し付けられた憲法でなく、「当時の知日派の米国人の協力」によって作成されたものだと認識されている。ちなみにNHKは当該部分のみをカットし、一切放送しなかった。このことからも、陛下のこのお言葉が、どれほど安倍政権にとって都合の悪いものだったかお分かりになるだろう。
他にも、安倍政権が国立大学での入学式・卒業式で国旗掲揚と国歌斉唱を行うよう求めていることに対して、「やはり、強制になるということではないことが望ましいですね」と否定的な意見を述べられている。天皇という権威をかかげて、国民に法的根拠のない義務を強いた戦前の体制への反省ともとれる発言だ。※自民党憲法改正案では「第3条 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。2 日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない」とされている。
これらの発言をみる限り、先の戦争を経験され、平和を訴え続けてこられた陛下と憲法改正を目指し安倍政権の動きには食い違いがあったと考えるべきだろう。
そして両者の食い違いが最も如実に現れているのが、天皇を「象徴」と規定している日本国憲法第一条の変更・修正についてである。
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