天皇陛下の「お気持ち」は改憲派を完全否定するものだった?“現人神”化を目論んだ安倍はブチ切れか?
■「現人神」復活と陛下のお気持ち 「象徴」のご発言8回
安倍政権がまとめた自民党憲法改正案では、天皇が「元首」であると明記され、たんなる「象徴」以上の地位が与えられている。同じく天皇を「元首」と規定していた大日本帝国憲法への回帰と見られても仕方がない内容だ。
現行憲法:「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」
自民党改正案:「天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」
大日本帝国憲法:「天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ」
このように「元首」と明確に規定されることにより、天皇が戦前と同じ地位に戻るとの見方もある。つまり、「現人神(あらひとがみ)」の復活である。ご存知のとおり、戦前、天皇は「現人神」として強大な権力を握ってきた過去がある。その権力をもってすれば、国民の意思に拘らず、国家レベルの戦争を開始することも可能だった。
このことは、今回放送された「おことば」でも象徴という言葉が8回繰り返され、「象徴天皇で国政に関する機能を有しない」とのご発言があったことからも分かるとおり、ご自身を「象徴天皇」として強く認識しておられる陛下にとって、これほどご自分の意思に反することはないだろう。
これに対してトカナは政府関係者に取材し、意見を聞いた。
「天皇陛下が伝えたかったのは、“天皇制度とは、神として見るものではなく、制度として見るものである”ということでしょう。どういうことかというと、“象徴天皇としての役割を果たせない者は天皇ではない”ということです。天皇とは、象徴的な国事行為をする人のことであって、個人を神のように崇めるものでもなく、国事行為ができなくなれば、退位するべき者であるということ。捉えようによっては、生前退位を認めるということは、天皇=現人神ではないということにつながるということです」
自民党憲法改正案において“象徴”から“元首”への変更を陛下が危惧されていた可能性はあるのか?
「国家元首とは、行政の長として対外的代表権を持つ存在でありますが、陛下は天皇について『国政に関する機能を有しない“象徴としての天皇”(第四条)』と明確にご発言されました。つまり、元首でありながら象徴でもあるというのは矛盾が生じているということです。確かに海外では『天皇陛下は日本の国家元首』と認識されておりますが、だからといって、日本国憲法でも実質的に国政に関する機能を有しない天皇を『元首』とするのは、いささか強引な印象が見受けられ、戦前の“天皇の政治利用”を反省していないという意見に繋がっても仕方がないでしょう。そうしたことを踏まえたうえで、陛下は“象徴天皇である”ということを強調され、今回の生前退位が今後の憲法改正議論に利用されないよう、自ら国民にメッセージを送られた可能性があります。あくまでも憶測ですが」
今現在、政府は急ピッチで皇室典範の整備を進めているが、陛下がどのタイミングで、どのような形で退位されるか、また、今回の生前退位のみ特別立法を立てるのかどうかなど、すべては秋以降に政府による有識者会議が設置され、そこで決定される。
「陛下の表明に対して、安倍晋三首相は『重く受け止めています』とコメントしたが、内心はこの“アウト・オブ・コントロール”状態に焦っているはず。そんな中で開かれる有識者会議ですから、必ずしも第三者としての目線を持った有識者が揃えられるとは限らず、政府の息がかかった人材が入る可能性はある。どんな会議が設けられたとしても、国民は冷静に判断していかなければならない」(先のジャーナリスト)
ともかく我々にできることは、陛下がご自身の進退をかけてまでお伝えになりたかったことを真摯に受け止めることだけだろう。
(編集部)
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