チェコアニメ好きは押さえておきたい! カレル・ゼマンの不思議な世界

■人形アニメーションの時代

 1945年に映画制作の仕事をはじめたカレル・ゼマンだったが、まずはじめに手がけたのは人形アニメーションである。多くの作品を残したが、その中でもとくに筆者が好きなのが『水玉の幻想(Inspirace)』。

動画は、You Tubeより。トカナ編集部は6分17秒の動きがお気に入り

 たんぽぽの種がピエロになり、やがてバレリーナに恋をするが、彼女は振り向いてくれない…という悲しいラブ・ストーリーなのだが、内容はさておき、登場する人物やセットはなんとすべてガラス製という意欲作である。1948年の作品。


■そして、特撮へ

 人形アニメーションで国内外から高い評価を得たカレル・ゼマンは、やがてアニメーション&実写の組み合わせによる特撮に取り組むようになる。ジュール・ヴェルヌの小説をもとにした『悪魔の発明』が有名だが、筆者のお気に入りは『前世紀探検』。

動画は、You Tubeより

 夏休みのある日、少年たちが川を下り、やがてタイムスリップして古代へとたどりつくというファンタジーである。

■幸福だったカレル・ゼマンの人生

 数々の子ども向けトリック映画を制作したカレル・ゼマンだったが、1989年、心臓病が悪化し永眠。没後も世界各国で企画展が催されるなど、子どものみならず万人から愛された映画作家だった。孫のリンダ・スパレニーが語る以下の文章がすべてを物語っているように思える。

“Zeman était un homme de petite taille.1.63m,qui évitait de parler de sa vie personnelle,croyant que son æuvre artistique constituait l’expression la plus intime et la plus révélatrice de son individualité.”

「祖父は身長が163センチと小柄で、自分について語ることはせず、作品が自身を表すものだと信じていました」

“Je l’ai seulement connu en tant qu’enfant mais à mes yeux,il était aussi un géant et un magicien.Il était ce grand-père qui possédait une baguette magique qui lui permettait de transposer l’histoire incroyable qu’il me racontait avant d’aller dormir sur un écran de cinéma pour que tout le monde puisse la voir”

「子どもとして知っているだけですが、祖父は私にとって大きな存在であり、魔法使いでした。寝る前にわくわくするような話を聞かせてくれる人。その話を世界の人々が見ることができるようにスクリーンに映し出すことのできる、魔法の杖を持った人。それが祖父でした」

(カナダにて発行の雑誌『シネマテーク誌“la revue de la cinémathèque(No.61)”』より引用。翻訳:天川)

【連載:「シュルレアリスム、その後」まとめ読みはコチラ

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■天川智也(あまかわ・ともや)
1980年生まれ。早稲田大学仏文科卒業。古今東西の奇書を求めて日々奔走している。おもな作品にNHKドラマ『ルームシェアの女』(フランス語作詞)等がある。

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