撮影:河西遼
■剥き出せよ、吐きだせよ!
――劇中で土屋さんが歌う歌がとても切なくて力強い歌詞で印象的だったんですが…
土屋 あれは、私が書いた歌なんです。
――エエエッ!! あれは土屋さんが書いたのですか? てっきり有名な詩人が書いたと思っていました。土屋さんが歌うシーンは、とてもセンチメンタルな雰囲気がありましたね。
土屋 (笑)。「アチアチ―! 熱くなれよ! 剥き出せよ、吐きだせよ!」っていうのですよね。あれは、自分も含めて、現場にいるみんながなかなか剥き出すことができないから、「剥き出していこう」という思いを込めて書いたんです。あと、台本に対する怒りもぶつけました。「殺人映像を撮って何が伝えたいの?」って(笑)。作品のテーマがわからなかったので、そのモヤモヤを詩にぶつけましたね。監督からは『台本をすべて否定している歌詞だね。でも、太鳳の詩を見たとき、大丈夫だっていう直感があった』と言われました。
――「剥き出したらどうなるかわかる? ただ普通のあたしになるだけ あんたがそれを見ていないだけ」
土屋 「あんた」=「自分」なんですよね。
――なるほど! すごい!!
土屋 ちょっと考えました(笑)最初の話に戻りますが、由佳ちゃんはなかなか寄り添えない役でした。でも、「この作品は一体何なんだろう?」「なんで撮影現場でこんなに苦しい思いをしなければならないんだろう?」という自分の中での混乱や葛藤が強くなったことで、今まで理解できなかった由佳ちゃんが少しずつ自分と重なってきた気がするんです。これはもともと監督の構想の内だったのかもしれませんが(笑)