4歳のキッズが喜ぶ「初めてのライフル」 ― 米で銃規制巡る議論再燃

■増える子供の銃事故

 アメリカでは5歳から、大人の監督下で22口径のライフル銃を打つことを認められている(他の口径であっても『キッズ向け』として売られている場合も多いという)。

 事故の際に使されていたのはイスラエル製のサブマシンガン「ウジ」で、なぜ子供にこのような大きな銃で訓練させていたのか、少女の両親に非難の声が上がっているが、現地の検察によると訓練を行ったヴァッカ氏にも責任があると判断しているそうだ。

 同様の悲惨な事故は6年前にも起こっている。2008年にマサチューセッツ州で開かれた銃展示会で、カボチャに向かって短機関銃を試射した8歳の少年が反動を制御できず、自分の頭部に被弾して死亡する事故が起きたのだ。

 だが、この事故後も実際に何らかのアクションを起こしたのはアメリカ内でコネチカット州のみであった。コネチカット州では、射撃場を16歳未満立入禁止にする法律を採択した。

 銃の規制を求める活動をしている団体の調査によると、規制がない今の状況では全米で毎週、平均2人の子供が銃事故により死亡する可能性があり、また最も事故が起こりやすいのは自宅だと指摘している。ベルギー人フォトグラファーのアンソフィー・ケステレイン氏は去年、ケンタッキー州で5歳の男の子が自宅で銃を誤射して2歳の妹を死亡させるというショッキングな事故に注目し、取り上げている。

 問題なのは、この銃が両親から息子に合法的にプレゼントされたものだということ。「男の子の両親は銃信者で、年端のゆかない子どもたちにも、銃の撃ち方を教えたいと考えていました。そんな考え方は普通ではなく、とても怖ろしいと思います」とケステレイン氏は語っている。銃を子どもに買い与える親は中流以上の家庭が多いということだ。

 クリケット社が子供向けに販売している銃の価格は150ドル~225ドル(約1万5千円~2万3千円)。オモチャに毛が生えた程度の金額である。ネット販売などを通じて年間6万丁を売り上げ、ホームページには『アメリカの若者に確かな品質な銃を』と謳っている。幼い少女達が持つピンクの銃には『少女達にも、もっと射撃スポーツの楽しみを』という具合だ。4歳から10歳の子供向けにサイズ別のライフル銃の一覧もあり、銃を入れるケースなどのアクセサリー類も豊富である。

 クリケット社は『注意:大人の監督下で射撃をすること』と注意文を載せているが、銃事故を防ぐのに十分とはとても言えないであろう。銃大国アメリカは何処へ向かうのだろうか。
(文=Maria Rosa.S)

参考:「Daily Mail」ほか

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