撮影:馬場智行
『ACRYL』(馬場智行・リブロアルテ)
水族館にいる生き物たちは果たして本当に生きているといえるのだろうか? 生存競争に身を置くこともなく、人工海水・人工砂浜に囲まれた空間で孤独に佇む彼らは一体何のために生きているのだろうか?
人工授精の技術が飛躍的に発展を遂げた昨今、水族館にいる生き物を通じて、我々人間の危うげな未来に対して今一度「生命とは何なのか?」を問うた作品が、馬場智行氏の『ACRYL』(リブロアルテ)だ。「数十センチのアクリル壁一枚を隔てた場所はあたかも自然の摂理から逸脱した人間のようである」と作者本人が語っているように、ここに出てくる生き物は不自然だ。ひたすら孤独で、精気がなく、悲しげで、時に恐ろしい表情をしている。
馬場氏のインタビューとともに、写真集の中からいくつかピックアップした写真を、静かな心でじっくりと見てほしい。