DJたちも驚くターンテーブル・アート!? アートの概念を刺激する幾何学図形

 まずはビデオをご覧いただきたい。レコードが乗った2台のターンテーブルとそれに繋がれた製図用具のパンタグラフ。スイッチを入れターンテーブルが回りだすとまるでDJが2つの手でスクラッチをするかのように、パンタグラフの先に取り付けられたペンが白い紙の上に線を描き始める。

動画は、YouTubeより

 一見、新しいオモチャのようにも見えるこの器具だが、プリンティングをメインに活動するアーティスト、ロバート・ハウザー(Robert Hawsare)のれっきとした作品だ。(プリンティングという芸術手法はポップアート界の巨匠、アンディー・ウォーホル(Andy Warhol)がシルクスクリーンを用いて作品を量産した事で広く知られている。)

 ハウザーは、「Drawing Apparatus」と名付けたこの装置が図形を描いていく工程自体がこの作品の重要な部分だと提示しており、パフォーマンスアートとインスタレーションアートの要素も含まれていることがわかる。

 ターンテーブルの規則的な円運動と、菱形に開閉するパンタグラフのカクカクとした動きの組み合わせによって引かれた線が重なりあっていき、次第に幾何学的な図形が描かれていく仕組みだ。

 機械的で単調な反復運動だが、動きのメカニズムと発せられる音のリズムが心地よくついつい見続けてしまう中毒性がある。するとでき上がった抽象的な図形が何か意味を持つかの様に見てしまっている自分に気が付き、「アートを鑑賞する」ことの概念そのままに当てはめられていた。つまりは悔しい事だが、このアーティストの目論み通りというワケだ。

 ペンの色や筆質は勿論、パンタグラフを繋ぐ位置やターンテーブルの回転速度に変化をつけることで異なる図形も描け、また線が一本一本描かれる度に生じるズレがデジタル・プリンティングには無いアナログ特有の暖かみを持つため、商品としてのアートにも十分成り立つ。デザイン的にコンピューターのスクリーンセイバーとして開発すれば面白いかもしれない。
(文=Mighty Nice)

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