覚醒剤密輸の疑いで日本人逮捕 死刑・拷問、インドネシア警察の実態!
■カワダ容疑者の目前には、死しかないのだろうか? 有期刑の可能性は?
しかし実を言うと、インドネシアで日本人が死刑判決を受けた例はまだない。いや、厳密に言えば日本に帰化したと思われるインドネシア出身の人物が麻薬密輸で死刑になった例があるが、ネイティブの日本人がそうなったことは未だかつてない。
麻薬所持で死刑になる外国人の国籍といえば、ナイジェリアかオーストラリアというのが一般市民の持つイメージだ。最近ではイギリス国籍の女性が、検察求刑禁固15年を裁判所で覆され死刑判決を受けた例がある。
それらの国と日本との違いは、日本がインドネシアに対して巨額の投資を行っている点である。もちろんそのような要素と同国の刑法につながりがあるとは断言できないが、日本人を執行場に送ってインドネシアのイメージを悪化させるのは当局としても望んでいないはずだ。日尼間の観光誘致政策が開始されたばかりの今なら、尚更である。
となると、裁判所は有期刑の判断の余地も残すのではないか。インドネシアの麻薬取締法での有期刑は、最大禁固20年である。それを鑑みると一番可能性のある顛末は、「終身刑か有期刑かを法廷で議論する」というものだ。
もちろん、以上に挙げた事柄はあくまでも予測である。死刑の可能性も充分にあり、しかもインドネシアの警察は否認を続ける薬事犯に対して身体的な拷問をかけることでも知られている。
東南アジアで麻薬に手を出すことは、まさに死に直結しているのだ。
(文=澤田真一)
参照元:「Tempo」
■澤田真一
フリーライター。経済情報サイト等で執筆多数。日本とインドネシアを往復する生活を送りながら、記事作成や実地調査などの仕事を請け負う。只今、インドネシア関連の執筆及び調査の依頼を受付中。https://www.facebook.com/masakazu.sawada
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