20人が目撃した「宙に浮くバス」と誘拐された老人 ― 小村「エミルツィム」 で起きたUFOアブダクション事件

石川翠のワールド・ミステリー

 11月29日の当サイトに、「ポーランド軍のヘリをUFOと間違えてレーザー照射した日本人(元自衛官)が逮捕!」と題された、興味深いリポートがアップされた。書き手はご存じ、魔女の深月ユリア氏。面白く読ませていただいたが、これが引き金となって、ふと2年前の冬、筆者がワルシャワ南部の森の雪道であやうく遭難しかけた小「事件(?)」を思い出した…。マイナス17度。獣の遠吠え。タターンと響く銃声。白一色の世界。もうろうとする意識。風の妖しい囁き。そして魔女と精霊の伝説─。スニーカーではもう二度と、真冬のポーランドなんかにゆかないゾ!!(当たり前です)

 ま、それはそれとして、深月氏のお陰で、もう1つ頭をよぎったのが、今回ご紹介させていただく「エミルツィム・エイリアン・アブダクション事件(Emilcin Alien Abduction)」だ。筆者はこれを、ワルシャワの廃墟みたいな安ホテルの、夜な夜な自然発生的にひらかれる、世界中から集まった若者たちのヨモヤマ話の席で耳にしたのだが、いままですっかり忘れていた。

「牛に荷車をひかせていたお爺さんが、謎の生命体に連れ去られるという、どこかほのぼの感いっぱいの民話みたいな事件のこと知ってるかい?」 ヘベレケの赤ら顔で、そう言い寄ってきたハンガリーの学生クンに「おいおい、ほんとかよぉー」と噛み付いてしまったのだ、あのとき筆者は。…と、能書きはこれくらいで切り上げて、では、突っ込みどころ満載の中欧の怪事件のはじまり、はじまりぃ─。


【本編】

■1978年、農夫がエイリアンに拘束される

 5月のことだった。ポーランドの首都ワルシャワの南東およそ145キロの小村エミルツィム(Emilcin)で、1人の老農夫がエイリアンに一時身柄を拘束されるという出来事があった。

 当時の内外メディアはこれをほぼ完全に無視した。しかしその後、この記憶はゆるやかに共有されて、現在では拉致現場に1つのモニュメントが建立されるまでに至っている。

emilcin06.jpgヤン爺さんイメージ

 5月10日の午前8時頃。森の小径で牛の引く荷車を操っていた当時70歳のヤン・ヴォルスキー(Jan Wolski/1907年~1990年)は突然、2人のヒューマノイドに遭遇した。身長およそ5フィート(1.5メートル)ほど。頭は小さく、灰色だった。顔や手は緑がかった色で、背中のコブが眼についた。かれらは時折、唇の端をゆがめて、しかめ面をしてみせた。猟師かと思ったが、全身にダイバー・スーツのようなものをまとっていた。

emilcin04.jpg画像は、YouTubeより。爺さんの証言を画にしたヒューマノイド

 やり過ごそうとしたヤン爺さんだったが、そのおかしな〈存在〉は、さっと荷車に飛び乗ると、ちゃっかり彼の隣に座りこみ、奇妙な言葉で話しはじめた。 連中の「釣り上がった目と突き出た頬骨」のせいで、ヤン爺さんはかれらをてっきり外国人と思い込んでしまったというのだが、筆者は心の中で思う。「それ、モウロクでっせ」。

 さてヤンは言われるまま(?)、森の中の開拓地に荷車を向けた。するとそこには、大きな物体がホバリングしているではないか! その物体、つまり純白に輝くUFOは、長さ約16.5フィート(5.0メートル)、高さ約14.75フィート(4.5メートル)の「寸胴のバスと同じくらい」の代物で、小屋のように屋根が付いていた。それが約16フィート(4.9メートル)の中空に浮いていたのだった。

emilcin02.jpg宙に浮く小屋

 船には、目立った外装(ライトやジョイントなど)は見当たらなかった。ヤン爺さんによれば、船体の四隅には黒い素材で作られた物体が付いていて、ドリルのように見えるそれは、うなるような音をたてていたという。また、宇宙船には地面にまでとどく、エレベーターらしき装置もあった。 

 それからヤン爺さんは、浮遊物体の近くで出会った新たな2人のヒューマノイドとともに、その中に乗り込んだ。船内には8~10席ほどの椅子がすえてあり、みな1人用の大きさだった。ドアの前には、足と翼をばたつかせるカラスやキジ、カササギなどが何羽がいたが、なんらかの力でその場に固定されているように見えたという。

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