初詣では決して満たされないあなたへ……。「呪詣」のすゝめ
■伝統的な呪術スポット
貴船神社奥宮(京都)
水神である高龗神(たかおかみのかみ)を祀る神社で、縁結びの神としても信仰されている。しかし他方では、「元祖 丑の刻参り」の神社としても知られている。
平安時代の『栄花物語』によれば、藤原頼通の病気は貴船の呪咀が原因だとされている。また、『平家物語』の「剣之巻」に登場する「宇治の橋姫」は、浮気して自分を捨てた男を呪うために貴船神社に7日間篭もった末に鬼となり、宇治川に身を投げたと言う。
貴船神社では奥社への立入を禁止する立て札を立てているが、夜になると「丑の刻参り」を行うために藁人形と五寸釘を持って訪れる人々が後を絶たないようだ。
八反坊神社(広島県庄原市)
八反坊(はったんぼう)を奉る神社。その昔、八反坊は年貢の割当てや取立てを行う公事人だったが、地主から不当な扱いを受けると取り立てを減らすなどした為、庶民からは大人気だった。
しかし、それが気に食わず、分限者たちは八反坊に無実の罪を被せて投獄。彼を死に追いやった。生前の彼が遺した「自分に濡れ衣を着せ、投獄した役人の家が見えるところへ遺体を埋葬するように」という遺言の通りに遺体を埋葬すると、その家には不幸が続き、家系が絶えてしまったという。そして、村人は八反坊の墓の上に社を建てた。
以来、八反坊は「護り神」であると同時に、「祟り神」としても知られるようになり、八反坊神社では「丑の刻参り」が行われるようになった。
地主神社(京都)
大国主を主祭神とし、縁結びの神さまとして若い女性やカップルに人気のスポットである。しかし、ここにも「丑の刻参り」の痕跡を持つ木がある。
ご神木である「いのり杉」は、別名「のろい杉」とも言われており、江戸時代には多くの女性たちが「丑の刻参り」を行っていたそうだ。しかし、神社の公式HPによると、「丑の刻参り」は、「そもそもは『のろい』ではなく、国土豊潤のため、丑年丑月丑日丑刻に神社の祭神が降臨される折、心願成就に詣でたのが始まり」であるとのこと。
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