人類は「スカベンジャー(腐肉食)」として進化してきた?

 人類は遥か遠い昔から進化を続け、今に命を繋いできた。数百万年前のアフリカで暮らしていた初期のヒト科原人「ホモ・エレクトス」は樹の上で暮らす“猿人”から“ヒト”へと進化を遂げたことにより、サーベルタイガー、ハイエナの祖先、古代ライオンなど、現代よりも大型で獰猛な肉食動物が生息する地上での生活を余儀なくされた。狩猟道具も持っていなかった彼らは“生き残る”ために猛獣たちの食べ残しをあさる「スカベンジャー(腐肉食)」となり様々な進化を遂げてきた、と英「Daily Mail」紙が5日に伝えている。

■死肉をあさる「スカベンジャー(腐肉食)」

人類は「スカベンジャー(腐肉食)」として進化してきた?の画像1ヒト科原人「ホモ・エレクトス」 画像は「Wikipedia」より

 現代でも多くの肉食動物が暮らすアフリカのサバンナでは、「食料」として屠殺(とさつ)された260万年前の動物の化石が発見されている。米・スミソニアン国立博物館の古人類学者ブリアナ・ポビナー博士はこれら化石の「骨」を調べたところ、同時期にアフリカに生息していた原人「ホモ・エレクトス」が骨から肉を切り離し、内側にある骨髄を採取するためシンプルな石のナイフと丸い石を使用していたこと突き止めたのだ。

 しかしこの時代の原人は「槍」や「弓矢」のような狩猟道具を作る技術を持っていなかったのだが、どのようにして獲物を捕食していたのかだろうか――。ポビナー博士は「この時代の原人は狩猟を行なっていなかった」と主張する。

 博士は中央ケニアでライオンや豹などの狩猟と捕食された動物を観察したところ、これらの動物はやわらかい肉や内臓を食べ、ほかの多くの肉は残されていた。捕食された1頭のシマウマからは約6,100カロリー分もの肉が残されており、これは成人男性が1日に必要とするエネルギーの3日分にもなるという。

“食べ残し”とはいえ十分すぎる量である。原人たちは猛獣たちが残した骨にこびりついたリブロースや栄養たっぷりの骨髄などを食べていたのだ。

 絶滅してしまったサーベルタイガーなどはその大きな牙からさらに多くの肉を食べ残したであろうと考えられており、ポビナー博士はハイエナのように骨を砕いて食べる肉食動物が存在しなかったサバンナでホモ・エレクトスは十分な食料を得ていたはず、と語っている。

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