苦悶の表情? 半世紀前に雪山で遭難した登山者のミイラが2体発見される=メキシコ
今月初め、メキシコのオリサバ山(5,610m)で捜索隊が雪に埋れて凍りついた遺体を発見した。英「Daily Mail」が伝えたところによると、発見された遺体は既にミイラ化しており、山頂から300mほど下った場所で見つかったという。
■55年前の雪山遭難者のミイラ2体
発見のきっかけとなったのは、数日前に登山者から「頭蓋骨を見つけた」という情報があり、12名の捜索隊が派遣されたことによる。
捜索隊は続けてもう一体の遺体を発見した。写真からは雪の中でほぼ完璧にミイラ化している遺体のリアルな様子が見てとれる。
オリサバ山はメキシコ・ベラクルス州にある、北アメリカで3番目に高いメキシコ最高峰の山で、シトラルテペトル(星の山)という別名を持つ成層火山だ。日本ではあまり馴染みがないが、海外の登山愛好家の中では人気の高い山のひとつだという。
現地当局ではこれらの遺体は、55年前の雪崩で行方不明になったメキシコ人3人のうちの2人ではないかと見ているが、一方でスペイン人とドイツ人の家族からも、長く行方不明になっている身内かもしれないと連絡が寄せられており、遺体の身元確認が求められているそうだ。
遺体の衣類の一部から身元特定が出来るのでは、と期待されているが、どちらにせよまずは山から遺体を無事に下ろすことが先決であるとのこと。
残念ながら、発見時は霧などの悪天候により捜索隊の内2人しか現地に辿り着けず、収容作業ができなかったため、次はヘリコプターを使って収容作業の再開を目指すという。遺体は収容後、プエブラ州にある検察当局でDNA検査が行われる予定である。
■登山ブームだがやはり入念な準備を
半世紀以上の時を経て発見された今回の遺体であるが、世界中の山々ではいったいどれほどの数の人々が眠っているのだろうか……。日本屈指の登山家・冒険家である植村直己さんも1984年に米アラスカ州マッキンリー登頂中に消息不明となり、現在に至るまで遺体は未発見である。
日本国内でも最近は登山人気が上昇し、身近に楽しめるレジャーになってきたが、ニュースでも頻繁に耳にするように、ブームと比例して遭難事故も多発している。警察庁が発表した、昨年1年間で起きた遭難事故は過去最多の2,713人。うち死者・行方不明者も最多の320人を記録した。十分な装備をしなかったり、中にはサンダルやヒールなどで登る人もいるという。警察庁は「昔は本格的な登山に伴う遭難が多かったが、最近はハイキングの延長での遭難が目立つ」と指摘、登山者への注意換気を促している。登山を楽しむ際はくれぐれも入念なご準備を……。
(文=Maria Rosa.S)
参考:「Daily Mail」、「警察庁生活安全局地域課」ほか
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