佐藤信太郎撮影:写真集『夜光』より(青幻舎)
■報道写真家からアート写真家へ
――その時に町を撮ったのが都市のネオンを撮り集めた『夜光』につながった。
『夜光』(青幻舎)
佐藤 基本的な姿勢はその時にできたと思う。
――街の魅力とはなんでしょう?
佐藤 僕もよくわからない。ほかに撮るものがないからなのかな(笑)。夜光については「猥雑で怖いイメージ」がいいなって思ったけどね。ネオンとか、すごい色の組み合わせだし、変な形の看板があったり、変な絵とか写真とかいっぱいある。怖いと思いながらも惹かれている自分がいたから、「だったら撮らなきゃいけない」と思ったんだよね。
――危険な場所や、風俗店などもたくさん撮影されていますが、そういったお店には通い詰めていたのですか?
佐藤 通っていはいない(笑)。そのころは共同通信で文化部の記者と一緒にインタビュー撮影したりして働いていたので、仕事が終わって、夕方にマミヤ7という中判カメラ持って、町を歩いて、場所見つけて撮るという感じ。マライア・キャリーやエンヤ、広末涼子を撮影した後に夜の町を徘徊していたというわけ。その頃勤めていた写真企画部には結構時間の余裕があったんだよね。だから、体力が残っていて、制作にも集中できた。でも、報道の写真部に移ってからはあまりにも仕事が忙しくて、作品をつくる時間がなくなってしまったからやめた。
――共同通信のお給料ってよさそうなのに…。
佐藤 同世代の平均に比べたらもらっていたと思うけど、仕事がきついし不規則だから。でもテレビや他の大手はもっともらっていると思いますよ(笑)
――でも作品制作の道を選ばれたんですね。
佐藤 そうですね。やっぱり撮りたいものがあると、撮ってしまうので。