「生きるのに向いていないから」健康な24歳女性の安楽死が認められる!!=ベルギー
現在、世界において積極的安楽死(本人の自発的意思のもと、医師が自殺幇助すること)が認められているのは、ヨーロッパの数カ国や米国の一部の州に限られている。その中の1国であるベルギーでは、「生きるのに向いていない」という理由で死を望んでいる女性に対する安楽死が行われようとしているようだ。
6月19日付のベルギー紙「De Morgen」によると、今回複数の精神科医によって安楽死が承認されたのは、ラウラさん(仮名)という24歳の女性。安楽死と聞くと、末期症状などの“肉体的苦痛”から解放されるための手段というイメージが強いが、ラウラさんは健康に何の問題も抱えていない。ただし彼女は、幼少期から一貫して自殺願望が頭から離れないという“精神的苦痛”に悩まされてきたのだという。
インタビューに応じたラウラさんは、この自殺願望には自身の生い立ちが少なからず影響を与えていることを認める。彼女の両親にとって、ラウラさんの誕生は予期せぬ出来事であり、酒癖の悪い父親からの虐待も相当なものだったという。そのため、祖父母に預けられて安定した環境の中で育ちはしたものの、彼女の自殺願望は一向に収まらなかった。
「苦しみのもとは、確かに子ども時代にあります。でも、穏やかで幸せな家庭で育っていたとしても、この自殺願望は変わらなかったでしょう」
「『私を必要としてくれる人がいるのかもしれない』『誰も傷つけたくはない』そんな考えから、今まで(自殺を)思いとどまってきました」(ラウラさん)
21歳のころからは精神病院に通院し、同じような考えを持つ友人ができ、さらに演劇への興味も湧いてきたラウラさん。しかし彼女の「自分は生きるのに向いていない」という思いは、やがて確信へと変わり、死を決意するに至ったとのことだ。
「私の考えは、友達に宛てた手紙にほとんどしたためました」
「もう、すべての準備は整ったと思います」(ラウラさん)
ラウラさんの安楽死は3人の精神科医によって承認され、この夏に決行される予定だという。ちなみにベルギーの成人には、医師が認める場合、精神的苦痛から逃れることを理由とした安楽死が許されており、昨年は性転換手術に失敗した女性(44)が実際にこの世を去っている。
2002年、オランダに次ぎ積極的安楽死を合法化したベルギー。その後、条件付きながら未成年にも認められるなど適用範囲は拡大し、現在では1日に5人が医師の援助のもとで安楽死している状況にある。しかし、健康体であるにもかかわらず精神的苦痛を理由とした安楽死が行われることに対しては、根強い反対意見も残っているようだ。今回のラウラさんは、まだ24歳。生きてさえいれば、いつか命に意味を見出だせる時が来る――何とかそう信じることはできないのだろうか。
(編集部)
参考:「De Morgen」、「INQUISITR」、「Christian Examiner」、「The Telegraph」、ほか
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