最大年商8億円、ぼったくりの帝王が語る「歌舞伎町ぼったくり秘話」
【4】靴下に現金隠し
カツアゲから逃れる中学生みたいな手口だが、実行者は多い。
請求額を見て青い顔になり「ちょっとトイレに」と消える。ドアの外からこっそり音を聞くと、ガサゴソと靴を脱ぐ音が…。
靴下の中はもとより、ポケットや隠しポケット付きのベルトの中に現金を隠す例もあった。最後はしれっと「これしかないんで」と財布ごと渡してくる。
一見、人の良さそうな東北出身の人間に多かったという。
【5】金ないなら体で返せ
現金もカードもない場合の最終手段。
むしろ向こうから「なんでもしますんで」と提案してくる場合が多い。かといって長期間拘束するわけにもいかず、大した使い道もないので、1時間くらい皿洗いをさせて帰す。
「すいません。勉強しなおしてきます」と、気持よく頭を下げて帰る人も多かった。一般に一流企業に勤める人間の方が、私生活でのトラブルを隠そうとするため、潔い態度で金払いもよかったという。
最盛期には、5店舗のぼったくりチェーン店を経営し年商8億円。影野氏個人も、月収2000万円を得ていた。
1度の請求額の最高額は700~800万円ほど。請求額もさることながら、実際に払う人間がいたことにも驚く。
「よぼよぼのホームレスみたいなお爺さんが1,300万円以上持っていたこともあった。朝イチで女の子らと銀行におろしに行ったら、預金額の1,000万円を割られたくないので支店長が出てきて必死に止め、結局300万円しかとれなかったこともある」(影野氏)
それほどバブリーな時代であったということなのだろう。
(取材=平田宏利)
影野臣直(かげの・とみなお)
1959年大阪府生。大学進学を機に上京し、歌舞伎町でぼったくりチェーン店の運営を行う。99年に摘発され懲役4年半の実刑判決を受ける。出所後は、人脈を生かし、トラブル解決のネゴシエーター(交渉人)活動などを行う。05年「歌舞伎町ネゴシエーター」(河出書房新社)で作家デビュー。06年には刑務所体験をもとにした「刑務所(ムショ)で泣くヤツ、笑うヤツ」(河出書房新社)を上梓。小説執筆のほか、ノンフィクション、Vシネマ原案・出演などもこなす。
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