「殺人者はみな僕の元に来てる」麻原彰晃と三浦和義と類人猿オリバーくんの招聘/康芳夫インタビュー
【国際暗黒プロデューサー康芳夫 インタビューシリーズ 第3回/全6回】
一代の虚業家として知られる康氏だが、彼の元から巣立っていった怪人物も多い。たとえば、アメリカで謎の類人猿として話題になったオリバーくんの招聘(1976年)にあたっては、その後のテレビ界を席巻する稀代のプロデューサーを育てることになった。
「いまはUFOで有名な矢追(純一)くんがディレクターで、その下にADでテリー(伊藤)くんがいてね。今でもテリーくんは僕のことを恩師だって言ってるよね。“テレビっていうのはなんでもできる”っていうことをその時に実感を持ってわかったんだよね。“康さんは猿をでっち上げて人間にした”ってね。まあ僕はでっち上げたつもりはないんだけど(笑)。木曜スペシャルっていう有名な番組で、テリーくんはそれを作ったプロダクションから派遣された助手でね」
――康さんがオリバーくんを見つけたのはどこなんですか?
「ニューヨークのイエローペーパー、タブロイド紙に“コンゴの奥地で不思議な生物が発見された”っていう記事が載ったんです。コンゴにはいろんな生物が共生してますからね、“顔が非常に似てるので、あいの子、ミクスチャーじゃないか!?”ということになったんです。それを瞬間的に“おもしろいなー”って思ったんです。その時たまたまロスから仕事の関係でニューヨークに移った時だったかな。そうして記事を書いた人間に連絡をとったら、一歩遅かったんです。1秒の差というか、ある人にオリバーくんをとられちゃったんです。ニューヨークの弁護士でした(マイケル・ミラー)。だから彼に“日本に連れてきて鑑定に出したらどうだ?”って言ったんです。そうしたら彼も僕の仕事の経歴を見て“おもしろい、ぜひやろう”となったんです。いざ連れてきたらまた大騒ぎでね。これも大変だったですよ。当時羽田空港着のパンアメリカンのファーストクラスを予約したんだけど、拒否されてね。それでフライングタイガーって輸送機の会社に乗っけてきて。ホテルも京王プラザのスィートルームもとってあったけどそこも拒否されて半蔵門にあったダイヤモンドホテルに泊めて、テリーくんが一晩中番をしてね。最後に頭きてバナナで叩いたって言ってたけど(笑)、まあ彼が僕を恩師だって言うのはリアリティがあるよね。その後彼がやった『元気が出るテレビ』なんかを観てもね」
■殺人者はみんな僕の元に来てる
――オウム真理教の麻原彰晃が康さんのところに出入りしていた時期もあったんですよね?
「彼はね、最初は阿含宗にいたんですよ。そこを辞めてやり始めたら、まず薬事法で捕まったんですよ(1982年に無許可の医薬品を販売)。その頃ですね、僕のところに出入りしてたのは」
――彼はいったい何をしに来ていたんですか?
「知人の紹介できてたんですけどね、当時出版社をやっていたこともあって、僕のところには三島の首を撥ねた森田(必勝)もいたし、ロス疑惑の三浦和義くんも来ていたし、殺人者はみんな来てるんですよ(笑)。俺は殺人者じゃないよ。まあそれは冗談ですが、本人とはそんなに話をした記憶はないですけどね。麻原くんはその後修業をしにインドに行ったんですよ。そしてオウム真理教が世間を騒がせるようになってから、その時には完全に忘れていたんですが、首謀者が“あの麻原くんだ”って気付いたんですよね。中沢新一くんが彼を持ち上げたりしていたじゃないですか? オウム真理教を作っていろいろ始めていた頃には、僕と連絡を絶ってからもう何十年も経ってましたから」
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