33歳美人女性の顔に硫酸「すべてが灰色になった」 ― アシッドアタックの惨劇=コロンビア
■世界第3位の“アシッドアタック大国”コロンビア
犯人は、ナターリアさんと多少面識があったが話したこともないジョナサン・ヴェガという33歳の男だった。ヴェガはかつてナターリアさんの近くに住んでおり、彼女に夢中になっていたという。いわゆるストーカーだ。そしてこの悲劇を綿密に計画していた。事件の8週間前に硫酸を購入し、数カ月もの間ナターリアさんをつけまわしてはチャンスを待ち構えていたのだ。
事件後、彼女の人生はガラリと変わった。ファッションの仕事を辞め、日中はプラスチックの保護マスクをかぶり、公の場で顔を晒すことはなくなった。絶望のどん底で生きていた彼女だったが、あるとき、コロンビアではアシッドアタックは珍しいことではないと知り、大きなショックを受ける。
「自分がこんな目に遭う前、アシッドアタックなんて聞いたことなかったし、この国でそんな問題が起こってるなんてまったく知らなかった。でも今、無理矢理だけど目を覚まされた気がしてる」(ナターリアさん)
現在、彼女はコロンビアだけでなく、ラテンアメリカ全域で増え続けているアシッドアタックによる被害者救済のために、自ら“広告塔”となるため立ち上がった。また、彼女の事件が引き金となり、アシッドアタックの取り締まりに弱腰な政府に対し、業を煮やしたコロンビア中の女たちが怒りのデモ行進を繰り広げた。そして、事態は急展開する。
フアン・マヌエル・サントス大統領が、日本円にして約450万円の報奨金を提示したことから、事件後8日目にヴェガは逮捕され、現在裁判となっている。なお、コロンビアでは、アシッドアタックの刑期は通常6~10年だが、顔に硫酸を浴びせた場合は8~15年になるという。
コロンビアでは過去10年間でアシッドアタック犠牲者は900人以上にのぼり、中には身体を切断したり、亡くなったケースもある。バングラディッシュ、パキスタンに続く、世界第3位のアシッドアタック大国なのだ。ゴム産業が盛んなコロンビアでは、硫酸の入手が容易というのも原因のひとつと考えられる。
■毎年1,500件のアシッドアタックが世界中で起きている
BBCによると、イギリス・ロンドンを本部とする世界初のアシッドアタック被害者の救済支援団体「ASTI」の責任者のジャフ・シャーさんは「毎年1,500件のアシッドアタックが世界中で起きているが、実際はもっと多い」という。報復を恐れて警察に通報できないでいるからだ。アシッドアタック専門の形成外科医のムハンマド・ジョワード医師は「アシッドアタックは女性の立場が弱い国で起こりやすい。DVの最たるもの」とも語っている。
国連の調べでは、アシッドアタックの原因は女性にプロボーズを断られた、フラれた、嫉妬など身勝手な考えのもと、相手の女性の顔や外見を破壊しようという執念をもって実行されているという。
「殺そうと思ってやったんじゃない。あの女を傷つけたかったからだ。『生きる屍』にしてやりたかった」(ある加害者の言葉)
日本でも逆恨みした男たちが、ストーカー、リベンジポルノ、果ては殺人まで犯す事件が後を絶たないが、アシッドアタックの模倣犯が出てこないことを願うばかりだ。
(文=佐藤Kay)
参考:「Daily Mail」、「Huffington Post」ほか
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