【ドヤ街レポート】山谷に降った小便の雨?おかしな磁場とものぐさ外国人の謎
■7年間山谷の写真を撮り続けた写真家が見た パラダイス底辺
山谷、僅か約1.65k㎡程度の小さな区域に簡易宿泊所が密集する、大阪の釜ヶ崎、横浜の寿町に並んで日本三大ドヤ街のひとつ。ドヤとは宿(ヤド)とも呼べぬほど祖末なものであるという差別的な呼称であり、最近では簡易宿泊所、略してカンシュクなどと言うこともある。かつて日雇い労働者の街として知られた山谷も、時代の変化や高齢化によって、福祉の街へと変わり、今や「看護の街」とすら言われるようになった。私は写真家として、2006年から7年間、山谷で帳場の仕事をしながら移り行く山谷のあり様を見つめてきた。
もちろんそこには厳しい現実もあるが、世間の抱く山谷へのイメージとは違う側面はあまり知られることはない。それは60年代に始まった山谷闘争という暗い歴史のイメージが強過ぎるからであろう。山谷にはかつての残り香と、時代の波に飲み込まれながらも右往左往する人達のドラマがある。それは、見方を変えればパラダイスでさえあるのだ。それは今撮影している築地市場にも共通して言えることだと感じている。お知らせなのですが、来月11月7日に写真のワークショップ「A氏の都市風景」を開催します。技術よりも写真表現に重きを置いたワークショップ、興味があればiPhoneでの参加でもOK。詳細はこちらより。
▶ 第一回 「年金を息子に奪われ、騙され、隅田川に散った老婆」
■山谷には何か異物を引き寄せる何かがある?
これはテレビの影響だと思うが山谷というと「あそこは外国人が泊まるって本当なのですか?」と言った趣旨の質問をよく受ける。まぁ確かにバックパッカーを対象とした宿もでき始めているのでそれは間違ってはいないが、実際はほんの一部の話であって、山谷の宿すべてがそうだというわけではまったくない。
もともと海外のバックパッカーが増えたのは2002年のワールドカップがきっかけで、その後徐々にニーズに合わせ、外国人に対応した宿が増え出し、今や20軒くらい。山谷の旅館組合(城北旅館組合)でも一時期タイのバックパッカー街カオサンにちなんで「山谷カオサン化計画」で街を盛り上げようとしたみたいだがいつのまにか頓挫したみたいだ。
私が働いていた宿は、3割ほどが外国人客だったし、一般のビジネスマンや地方からの就活生も来ていたので比較的テレビのイメージに近い宿であったのかもしれない。毎年海外からの宿泊者は国別に人数を浅草警察に提出するのだが、2009年の数字で146カ国から色々な人が来ていた。ここ最近は上野や浅草といったよりアクセスのいい場所に大型の外国人をターゲットにした宿が増え、山谷に流れるバックパッカーも減ってきている。
しかしここは山谷、どういうわけだがオリジナリティあふれる人が多いのだ。ひょっとしたらこの土地自体にそういう人を惹きつける特殊な磁場でもあるのではないかとさえ疑ってしまう。外国人が増えたから山谷が変わったかと思えば、そうにもならないのがオカシイところである。山谷は世界共通のパラダイスなのだ! 今回は私が実際に出会ったおかしな外国人達の一部を紹介しよう!
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