全身が石化する奇病 ― 32歳女性、前向きに生きる=米
発症率は200万人に1人と言われる難病・進行性骨化性線維異形成症(Fibrodysplasia Ossificans Progressiva/以下、FOP)。英紙「デイリーメール」に、同病にかかるアメリカ人女性が紹介された。ただ本来であれば、同情する声が上がりそうなものだが、その女性が笑顔で前向きさも感じられるせいか、そうした声は意外にも少ない。
アメリカ・ジョージア州に住むアシュリー・カーピールさん、32歳。医師に癌と診断された彼女は、腫瘍の切除のため、右腕の切断を迫られた。しかし5カ月後、医師は「癌は誤診」とした上で「200万人に1人という稀な病気・FOP」と宣告。“石化”とも表現される同病は、筋肉や腱、靭帯、体内のほかの結合組織を骨にする……つまり全身に骨ができる病気で、現時点では不治の病だという。
その後、アシュリーさんは右腕を切断。また、25歳のときに右足の移動性は失われ、杖を使う歩行、あるいは車椅子での移動を余儀なくされている。しかし、「わたしがこの先、どれだけ自分の体を動かせ続けることができるかわからない。だからこそ、すべての体験をしてみたい」と、サーフィンなどを楽しみ、前向きに人生を歩んでいる。また、車椅子で5kmコースの走行を達成したアシュリーさんは、FOPによる切断者やその家族のため、大使としても活躍しているとのこと。
正確な人数がわかっていないが、日常生活上の障害が大きく、有効な治療法もないことから、2007年に厚生労働省の難治性疾患克服研究事業の対象疾患となったFOP。馴染みのない病気だからか、日本では「特に違和感もない」「体の7割はあるから大丈夫」「アイコラみたい」など、アシュリーさんを哀れむ声は少ない。中には彼女の豊満な胸や可愛らしい笑顔を指摘して、タイプだとする声も。
呼吸の障害や、口を開きにくいことによる栄養の障害の関係により、40歳以上生きられるのは稀とされるFOP。ただ、栄養の管理など医療技術の進歩もあり、50~70歳代での生存も確認されているという。アシュリーさんにも長生きしていただき、さらにたくさんのことに挑戦する姿勢で、多くの人に勇気を与え続けてほしい。
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