衝撃取材! 桶川ストーカー殺人:黙殺された「新証言」と冤罪を訴える「主犯格」の手紙。近い将来、大逆転劇か?
■解明されなかった謎
この事件では、そもそも捜査段階から「なぜ主犯格が和人ではなく、武史なのか」という疑問が指摘されてきた。猪野さんの元交際相手である和人ならともかく、武史には猪野さんに殺意を抱く事情は何も見当たらないからだ。キーマンとみられた和人本人が逃亡先の北海道で「自殺」したこともあり、そのあたりの謎は結局、十分に解明されないままだった。
さらに武史の裁判では、久保田と他ふたりの共犯者とされる風俗店従業員に対し、武史が事前に報酬の約束をしたり、逃亡の計画を指示した事実が一切なかったことも明らかになった。それどころか事件直後、武史は久保田たちをカラオケボックスに呼び出し、「最悪の結果になった」「なんでだ」と久保田を叱りつけ、自首を勧めていたという(by同席した別の風俗店店長らの公判証言)。殺害を依頼した首謀者の言動としては、これはあまりにも不自然だ。
■手紙に綴られた事件の内幕
そこで筆者は千葉刑務所で服役中の武史と手紙をやりとりし、様々な疑問を率直に質してみた。武史から届いた返事の手紙には、事件後のカラオケボックスでの久保田とのやりとりについて、次のように綴られていた(以下、〈〉内は引用。断りがない限り、句読点以外は原文ママ)。
〈クボタは、これくらいやらないとマネージャー(和人)がなっとくしないと思いましてと(目に涙をためていた)と言ってきたので、私は、そんな訳ないだろうと怒り、和人も自首しろと言ってると言って、弁護士の名前もクボタにつげて、クボタはそれをメモにとっていて、その時、これは弁護士代と言って、袋を渡したのです。これが事実です!〉
これだけでは話が少々わかりづらいが、要するに武史は「久保田はそもそも事件直後から自分とは関係なく、和人のために猪野さんを刺したと犯行に及んだことを認めていた」と訴えているのだ。
さらに武史の手紙によると、武史は風俗店の現場では嫌われ役を務めており、久保田にも小言を繰り返し、給料を「10万円」にするなどの仕打ちをしたこともあったという。
〈そうとうに向こう(筆者注:久保田)も私を嫌っていたでしょう…逆に和人は、反対に、お金を多くあげたり、飲みに付れて行ったり、とうぜんに好かれるように久保田とつきあってました〉
つまり、久保田は和人の意向をうけ、猪野さんを刺しておきながら、警察に逮捕されると、普段から嫌いだった武史のことを首謀者にでっち上げた――。武史はそう訴えているわけだ。
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