小保方氏よりも悪質か? 早稲田大学准教授に「論文盗用疑惑」発覚! 地に堕ちた早稲田ブランド
さてここで今回の盗用疑惑の実相をここで解説しておきたい。盗用を疑われた元になったのは、その准教授のもとで修士号を得た学生3人の修士論文である。この3人をA氏(08年修了)、B氏(09年修了)、C氏(11年修了)とする。
まずこの3人全員が修士論文を要約する形で准教授との共著論文を作成(共著論文執筆者はあくまで学生本人)。この中でA氏との共著論文のみが「早稲田国際経営研究」に09年に掲載され、残る2本はある学会の発行する雑誌に投稿したが、クオリティー上、掲載に至らなかったらしい。
一般に研究者が論文を発表できる学術雑誌には、査読という編集委員により論文のクオリティーが厳格に審査されるものと、そうではないものがある。前述の早稲田国際経営研究は査読なしの雑誌である。査読ありの学術誌に論文が掲載されることは研究者にとっては業績評価の対象になり、それによって教授への昇進も左右される。
その後A氏の場合、准教授との共著論文の発表から5年を経た14年に同氏の修士論文や共著論文と酷似した論文が准教授の単著として日本経営学会誌に掲載された。
B氏に関しては、修士論文や未発表の共著論文原稿に内容と酷似した論文が准教授の単著として14年に早稲田国際経営に、C氏の場合、修士論文と未発表の共著論文原稿と酷似したものが、准教授の単著として13年に日本経営学会誌に、さらに14年に早稲田国際経営研究に発表された。
つまるところ3人の修士論文を盗用し、それぞれ3本の論文を准教授があたかも自分のみで研究したかのように発表し、さらにそのうち1本とほぼ同じ内容の論文1本を二重投稿し、合計4本が不正あるいは不適切に発表されたと見られているのだ。
■懲戒解雇免れ、処分は“甘い”停職4カ月
内部通報後、商学研究科執行部は既に学外にいる元学生3人、准教授本人にヒアリングし、早稲田大学本部の学術研究倫理委員会に報告。14年11月に同委員会の下にこの件に関する調査委員会が設置され、調査委員会は4回の審議を経て15年2月に最終報告書を取りまとめた。
調査委員会での聴取や上申書などで、准教授は単独名義で発表した論文の執筆の際に、学生と共著論文や未発表の共著論文原稿を参照したものの、修士論文そのものは参照していないと主張。また、単著として発表した論文は、自分が学生の研究を進化・発展させたものであるとの認識を示した。
ただ、盗用元として疑われている修士論文を執筆した学生3人から単著としての執筆許諾は得ておらず、単著論文内に参照論文として共著論文や修士論文を記載しなかったことや論文内で当該学生に謝辞を述べていないことなどの「著作権侵害」は認めたが、あくまで過失であり、意図的な「盗用」は否定している。
同大学学術研究倫理委員会では、准教授の単著論文では、学生の修士論文内の図表をそのまま引用し、修士論文と単著論文に酷似した記載が目立つこと、またヒアリングの内容などを総合し、准教授による「意図的盗用」との判断を下している。
准教授はこの内容に不服を申し立てたものの3月17日に学術研究倫理委員会はこれを却下。その結果を受けて早稲田大学では4月27日、鎌田薫総長名義で懲戒を審議することを商学学術院長である嶋村和恵教授に要請している。
前年の蛭田准教授の例では10年以上前の大学学術誌での2論文の盗用で懲戒解雇に至ったのだから、この2年以内に学会誌も含めて意図的とも思われる不正行為を認定された4本の論文が発覚したこの准教授についてもほぼ同様の処分が下されるだろうと思うのが一般的であろう。
ところがその後、水面下で進行した事態では「予想外」の展開となった。結論を先に言うと、学術研究倫理委員会の最終報告書での認定が、時間の経過とともに覆され、冒頭に示した臨時教授会では査問委員会が勧告した停職4カ月という判断がギリギリの票差で議決されたのである。<第2回に続く/明日配信予定>
(取材・文=村上和巳)
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