火事で顔が溶けた元消防士にイケメン選手の顔面を移植! 

■26時間にも及んだ“顔面移植手術”

 彼に、転機が訪れたのは2012年のことである。教会での友人がメリーランド大学メディカル・センターで行われた顔面移植手術を成功させたロドリゲス医師に宛てた1通の手紙からである。ロドリゲス医師は、彼の助けになれるかもしれないとの返信後、2014年8月には、移植の待機リストに載るまでになったのである。

 顔面移植の場合、血液型や、肌の色、毛の色だけではなく、頭蓋骨の骨格の一致までが必要とされ、適合するドナーは少ない。待機リストに載ってから約1年後、ニューヨークの非営利臓器移植ネットワーク団体「LiveOnNY」から、朗報が入る。7月に自転車事故で頭を打ち、1週間後に脳死宣告を出されたサイクリストのデビット・ロードバラ氏がドナーとして適合の可能性が高いとのことである。

火事で顔が溶けた元消防士にイケメン選手の顔面を移植! の画像2在りし日のデビット・ロードバラ氏 画像は「BBC News」より

 LiveOnNYの担当者が、顔面移植のための承諾を請いにロードバラ氏の母親を訪ねた際には、生前のロードバラ氏は消防士になりたがっていたとの話もあり、移植の承諾をもらうことができた。ロードバラ氏は、それだけではなく、心臓、肝臓、腎臓、角膜、骨、皮膚組織までも他の移植のために臓器を提供しているのである。

 実際の手術は、ロドリゲス医師によって、ドナーであるロードバラ氏の後頭部から切開し、表皮、筋肉、神経などを含んだすべての組織を頭から顔面にかけてすべて剥がしとることから始まった。一方で、外科チームがハーディソン氏の顔面と頭部分の組織を取り除き、そこにロードバラ氏から剥がされた組織を移植していく形で進行していった。ロドリゲス医師によって血管が繋がれ、述べ100人以上のメディカルスタッフによる26時間にも及ぶ大手術となったのである。

 手術後3カ月たった現在、ハーディソン氏の回復は順調で、後数回の外科手術は必要とされているが、まぶたを再び得ることができ、モノを見ることも可能となりつつある状態となってきている。医師によれば、最終的に一見には顔面移植手術をうけたことがわからない程までの回復が見込まれている。ハーディソン氏は、四六時中じっと見られ、恐れられる人から、普通の男に戻れたとコメントを残している。

火事で顔が溶けた元消防士にイケメン選手の顔面を移植! の画像3画像は「BBC News」より

 他人の顔ではあるが、異形から人としての顔をとりもどしたことになるのであろうか。失ったものを取り戻したハーディソン氏に明るい未来が待ち受けていることを祈るとともに、この医学的躍進が、人の顔と心を救うすべのひとつとして確立されていくことを願っている。
(文=高夏五道)

参考:「Daily Mail」ほか

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