「水木しげる作品ベスト5」オカルト研究家山口敏太郎氏が選んで語る ~水木先生が日本に残してくれたもの~

「水木しげる作品ベスト5」オカルト研究家山口敏太郎氏が選んで語る ~水木先生が日本に残してくれたもの~の画像1画像は、『現代妖怪譚[全] 他 (水木しげる漫画大全集) 』(講談社)

 30日、「ゲゲゲの鬼太郎」で知られる漫画家で文化功労者の水木しげる先生が、東京都内の病院で死去した。『墓場の鬼太郎』『河童の三平』『悪魔くん』『のんのんばあとオレ』といった人気作品を多数世に出し、妖怪や霊界、民俗学の魅力を日本に広めたオカルト功労者の突然の死に、オカルト界にも大ショックが広がっている。

 作家・オカルト研究家の山口敏太郎氏から訃報コメントが届いた。

「水木しげる先生の死去は本当に悲しい。まさしく日本の文化的損失だと思います。現代人の妖怪という概念は柳田民俗学の妖怪データと、鳥山石燕の妖怪画や江戸の化け物文化を水木しげるがミックスし、現代風にアレンジした結果、生まれたものです。つまり、妖怪という分野は水木しげるという偉大なアーティストが創ったと言っても過言ではないのです。

 また“クールジャパン”と言って、日本のおたく文化やポップカルチャーが世界中から注目されてますが、その中でも妖怪は現代アートとしても、ホラーとしても、キャラとしても大きな注目が集まっています。この妖怪という日本の優良な輸出コンテンツは、水木しげるという稀代の天才はいたから成立したのです。東京オリンピックに向けて、妖怪を猛プッシュしたい日本としては、エース・水木しげるの死去は痛手といえるでしょう。

 水木しげるという天才がいなくなった後、妖怪分野がどうなるか心配です。確かに「妖怪ウォッチ」という後継のメディア表現も生まれてはいますが、まだまだ水木しげるの手のひらで遊んでいるレベルでしかありません。僕を含め、妖怪を扱っている作家、ライター、漫画家が束になっても、水木しげるの業績には遠く及ばないでしょう。

 大きな時代の変革期だといえます。僕は今まで心から、水木しげる先生を尊敬してきました。だからこそ、後輩として妖怪というエンタメ分野を守っていきたいと思います。水木しげる先生、天国でも漫画を描いてください。たくさんの夢をありがとうございました

 山口敏太郎

■山口敏太郎が独断と偏見で選ぶ水木しげる作品ベスト5

1、『鬼太郎対悪魔くん』水木ワールド夢の対決。
2、『星をつかみそこねる男』水木しげるが新撰組を描いた傑作。
3、『総員玉砕せよ!』戦争がいかに馬鹿げているか、学べる。
4、『死神の手帳』あのデスノートの元ネタ?と噂される。
5、『一番病』手塚治虫を揶揄した?と言われた作品。

 
 今回山口氏には、短編・長編すべてあわせたうえでのベスト5を選んでいただいた。しかし、上に挙げた作品以外にも『ラバウル戦記』『のんのんばあとオレ』『神秘家列伝』など、傑作を挙げたらきりがない。少しずつではあるが、水木作品を紹介していきたい。

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