鎖につながれた黒人奴隷の亡霊たちか?宣教師の館で「この世のものとは思えないような物音」=ナイジェリア
ナイジェリアの新聞「Daily Trust」(1月29日付)によると、ナイジェリア・ラゴス州のバダグリーには、国内外から多くの観光客を惹きつける館があるという――。
■ナイジェリア初のキリスト教教会
観光客を惹きつけて止まないその建物とは「ファースト・ストーリー・ビル」。眼下にマリーナ・ウォーターフロントを望む高台に建ち、アフリカの照りつける太陽に白壁がまぶしい。ここは以前から人気の観光名所として知られていたが、実は最近、あることで話題になっているというのだ。つまり“出る”らしい……。
1845年、この建物は布教のためイギリスから渡ってきたチャーチ・ミショナリー・ソサエティ(CMS)のヘンリー・タウンゼント牧師らによって建設された。23名の宣教師たち自らが汗水流し、ナイジェリア初の教会を誕生させたのだ。熱心なブードゥー教信者が多かった土地だったが、宣教団のフレンドリーで誠実な姿に地元民は心を許し、後にキリスト教徒へと改宗していったという。
また、アフリカ人初のCMS司祭となったサミュエル・アジャイ・クラウザーは、この館で聖書を英語から西アフリカで主に話されるヨルバ語へと翻訳するのに尽力した。彼の訳した170年前の原本は今もこの建物内で展示されている。クラウザーは1809年に生まれ、12歳で捕らえられると奴隷としてポルトガルに売り飛ばされてしまった。だが、彼の乗った船が海上で英国海軍に拿捕され、そのまま現在のシエラレオネ共和国へと引き渡されたことから運命が変わった。自由の身となった彼はその後、イギリスに渡り神学を学び、故郷に戻って聖職者となったのだ。
■夜に「この世のものとは思えないような物音」が響く
このナイジェリア屈指の文化遺産は、その後もいろんな機能を果たしてきた。あるときは、奴隷から解放され帰国した人びとの住まいとなり、またあるときは学校やセント・トーマス・アングリカン教会の牧師館としても役立ってきた。
そんな由緒ある館だが、最近になって不気味な噂が広まっている。それは、夜間にこの建物に入った者が「この世のものとは思えないような物音」を耳にしたというのだ。まるで奴隷がつながれた鎖を引きずるような音だったり、無慈悲な主人たちにより折檻された奴隷たちの悶絶のうめき声だったり……。また、館の広間で宣教師たちが壮麗な声を響かせるのを聞いた者や、中には牧師がフラフラ歩いているのを目撃したと証言する者もいる。
もちろん「呪われてるとか言って、観光客を呼びこもうって魂胆なんだろ?」と陰口をたたいている人々がいるのも事実だ。しかし、歴史に翻弄され、いまださまよう霊魂の雄叫びの1つや2つ、聞こえたところでどうってことないだろう。ここはかつて、未開の地であった西アフリカの海岸に文明の明かりを灯した、人びとにとってかけがえのない集会所だったのだ。
ラゴス州政府はこれまでに何度か、この歴史的建造物の管理をアングリカン教会から引き継ごうと交渉をしているが、教会側は決して首を縦に振ろうとしない。ファースト・ストーリー・ビルは、ここで生きた人びとを見守っていくのだから、これからもずっと……。
(文=佐藤Kay)
参考:「Daily Trust」、「Unexplained Mysteries」ほか
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2024.10.02 20:00心霊鎖につながれた黒人奴隷の亡霊たちか?宣教師の館で「この世のものとは思えないような物音」=ナイジェリアのページです。心霊、アフリカ、教会、佐藤Kay、伝道などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで