『adrenamix』(赤々舎)
昨年、Tocanaでも紹介した写真家の石川竜一。見事に第40回木村伊兵衛写真賞を、そして立て続けに日本写真家協会新人賞も受賞し、1人のフォトグラファーとして着々と認められつつある。
そんな石川の受賞後第1作目にあたる作品集が『adrenamix』だ。
■世の中はクソ、死んでしまえと思っていた
『adrenamix』は石川の日常のスナップ写真で構成されている。ほとんどが2009年、石川が25歳の頃に撮影されたイメージだ。
「あの頃はモヤモヤとしていてムカついていた。でも、何にムカついているのかもわからなかったしやり場もなくて。『世の中はクソ。死んでしまえ』と思うくらい違和感があった。自分なりに精一杯やっていたけど、何もできなかった」(石川竜一氏)
深夜の国道を疾走する暴走族、ライブハウスで声の限りにシャウトするパンクバンド、クラブで踊り狂う若者たち。したたかに酒を飲み意識を失った青年。モデルガンを片手にガスマスクを被り車に乗る男。密室でセックスに興じるカップル等々、漲るエネルギーを持て余しながらやり場のない不安や怒りを抱えてさまよう若者たちがくり広げる無軌道な日々。
被写体の多くは石川の周りにいた友人や近しい人々だ。石川本人が写ったカットも少なからずある。