1879年に開始され、2100年に終わる実験とは? ビール博士の終わらない挑戦

■驚異的な生命力の“雑草魂”

 一番最近に瓶が掘り出されたのは2000年の春のことで、これは、現在の実験責任者であるテレワスキー氏の手によるものだった。その調査では、23種の植物のうち2種類が萌芽したという結果になり、今まで掘り出された15本の瓶の中で萌芽率が最もよかったものは、アメリカでは非常に一般的な雑草であるモウズイカであった。

 50粒の種のうち、23粒が萌芽するという結果は、テレワスキー氏によれば「驚異的」とのこと。次点であるMalva rotundifolia(ゼニアオイ属の一種)では、50粒のうちたった1粒からの萌芽しか確認できなかったことからも、モウズイカの生命力がいかに強いのかが計り知れる。また彼は、すでに局地的に絶滅してしまったと考えられている植物の種子が、なんらかのかたちで休眠していて、再び萌芽の可能性がないわけではないと言っている。

 次に掘り出される瓶は、4年後の2020年の予定であり、その準備はすでに始められているという。テレワスキー氏は、「この実験の継続性を失いたくない」と言い、2100年に予定されている最後の瓶の掘り出しを延長する可能性もあるとしている。「次の瓶の調査において、突然すべての種類の種子から萌芽するという可能性も全くないわけではない」という希望的な発言もある。

 確かに、継続は力なりという言葉の通りに、時間をかけて継続調査をする実験の重要性もわかるが、実験に対する熱意も継承されなければ、続けることは難しいであろう。もしかすると現代ならば、コンピュータを駆使したシミュレーションで簡単に推測計算されてしまうのかもしれないが、こういった継続性が鍵となる実験を続けている科学者たちにはあらためて敬意を表したい。
(文=高夏五道)

参考:「Oddity Central」ほか

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