1879年に開始され、2100年に終わる実験とは? ビール博士の終わらない挑戦
なんでも早いほうがいい。すぐに知りたいし、すぐに結果を出したい。特に現代は、何に対してもスピードが求められている。実際、近代科学はそのスピードの欲求に応えるために発展してきたと言っても、ある意味間違いではない。しかし、世の中にはすぐに結果がでないものも、まだまだたくさん残っている。オンラインジャーナルの「Oddity Central」のレポートによれば、ものすごく気の長い植物実験がアメリカのミシガン州立大学で行われているという。
■1879年に埋めた23種類の植物の種子を5年ごとに確認
この“気の長い”実験は、1879年に始まって、いまだ実験継続中であるばかりか、その実験の終了は、まだまだ先の2100年に予定されているということだ。
植物学者であるウィリアムス・ジェームス・ビール博士が、今から139年前に始めた実験とは、植物の種子の萌芽能力に関するもので、休眠状態にある植物の種子が何年間の休眠に耐えることができ、再び萌芽が可能になるかどうかというものである。口の細いガラス瓶に湿らせた砂と植物の種子を入れて、大学キャンパス内の秘密の場所に埋めて保存し、5年おきに掘り出して萌芽状況をチェックしているのだ。
博士は20の瓶にそれぞれ23種類の植物の種子を50粒ずつ入れ、大学内の比較的砂の多く含まれる丘状の地面の下に秘密裏に埋めたという。瓶には蓋をせず、口を下に向けて埋めることによって、種子に過剰な水分が与えられないようにしてある。5年おきに1瓶ずつ掘り出して、その種子の萌芽状態を継続的に調べていくことによって、種子の休眠に対する時間的耐性を調べていくというものだ。
博士自身、6本の瓶、つまり30年間分の調査することができたが、その後は同大学のロバート・バンドラスキー博士、ジャン・ジーバート博士など何人かの研究者に引き継がれていくことが決まっているが、現在はビール博士にちなんで命名された同大学の植物園の学芸員であるフランク・テレワスキー氏が実験を担当している。
ビール博士の当初の計画では、20本の瓶は5年ごとに調査され100年で実験は終了するはずであったが、ビール博士が引退した10年後に調査された瓶では、種子は比較的安定した状態を保ち続けているという結果となり、ビール博士の後継者はその掘り出す期間を5年ごとから10年ごとに変更。さらにその次の後継者は10年ごとから20年ごとに期間を変更した。
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