暴走老人対談・康芳夫VS花田紀凱

元文春編集長・花田紀凱が語る『週刊文春』スクープ独占の理由! ~暴走老人対談・康芳夫~

■文春が皇室取材で…

元文春編集長・花田紀凱が語る『週刊文春』スクープ独占の理由! ~暴走老人対談・康芳夫~の画像5

「ベッキー不倫報道にしても、後を追ってカスを食らっているような状態だからね(笑)。今は圧倒的に『週刊文春』なんだよ。でも、週刊誌全体がそれで勢いづいているのはいいことなんですけれどね。全体に勢いづいて、多少の微増という現象はありますからね。ただね、花田編集長の時の『週刊文春』はもっと凄かった。遂に“ナベツネの首を取った!”なんてことを言っているんだけどね、彼が編集長の時はあの美智子妃殿下を追い込んでいじり回すものだから、美智子さまがノイローゼで失声症ってものになっちゃったの」

「その話はやめてくださいよ、もう僕は改心したんですから(笑)」

「そうしたら右翼が怒ってねえ、当時の文藝春秋社長、田中健五の家に銃弾をぶち込んだの」

――最近も康さんと「週刊文春」の話をしてまして、「これ、そのうち(銃撃)くるよ」って言われていましたからね。

「今の勢いなら、なきにしもあらずだよ(笑)。甘利の首を獲るなんて『週刊文春』には朝飯前だけど、今回はナベツネだからねえ。本社を辞める可能性もゼロではない」

「そうですね」

ジャイアンツのスキャンダルはこのあといっぱい出てくるかもしれない。清原(和博)くんのシャブ問題も『週刊文春』だし、ベッキー不倫騒動もそうだろ? あとはSMAP解散報道、甘利大臣辞任……、ついに天下のナベツネの首も取ったしね。でも、清原スクープで非常に残念なのは、吉永小百合との『関係』が浮上しなかったことだよ。彼女は最初から清原の熱烈なファンだからね」

「ASKAの覚せい剤問題もそうですよ」

「そうそう! でもね、花やんがやったのはそんな生やさしいネタじゃなくて、皇室まで突っ込んでいったからねえ」

「俺はAKB48のスキャンダルにしても、“そんなのくだらないから『週刊文春』の読者的にはどうなの?”って言っているんだけど、新谷は“花田さん、あれは違うんだ”って言うの。要はね、今は『週刊文春』もネットで配信しているわけだと。ああいうところではAKB48の話題はもの凄い強い“引き”がある。そりゃあ誌面ではね、『週刊文春』読むような人はAKB48なんてどうでもいいんだけど、ネットでは強いと」

――花田さんがやっていた頃よりも、ネット等の客層も考慮に入れて、メディア展開が広がっているからということですね。

今はネットの人たちも相手にしないと、売り上げが伸びないですから大変ですよ。本来の『週刊文春』の読者っていうのはAKBに関心があるわけじゃないし、その中の誰と誰がくっついたなんていうのはそんなに興味がないと思うんだけど、それでもそこに手間暇お金をかけなきゃいけないっていうことですよね」

「でもね、『週刊文春』の【スクープ主義】の基を作ったのは、花田編集長じゃないか。それまでもいろんな編集長、先ほど出た元社長の田中さんも堤くんもいたけど、花田くんの独特の編集力っていうのはその頃から知る人ぞ知るすごさがあった」

「いや、実際はそんなたいしたことないですよ。『週刊文春』っていうのは編集長以下50人もいますからね、それはもう強力だし、僕ひとりじゃできることじゃなかったですよ」


■元編集長が語る、現編集長の魅力

――ちなみに花田さんが考える、現編集長・新谷氏のよさっていうのは、どのあたりにあるのでしょうか?

とにかく彼は好奇心が非常に強い。僕は常に言っているんだけど、編集者に重要なことは“一に体力、二に好奇心”。こういう編集者の仕事ってさ、体力がいるじゃない? 俺だって今も徹夜しているんだよ」

――70歳でも徹夜ですか!

「やっぱりそれくらいの体力がいるんですよ。たとえばなんかの取材に行って断られたとするよね? それでも何回も行って、もう一回行けば(ネタを)とれたかもしれない時、“もう疲れちゃった”とそこに行くのをやめたら、絶対にとれない。その【もう一回行くかどうかの差】が、編集者には大きいわけですよ」

――確かにそうですね。

「あとはやっぱり【好奇心】ですよ、なんに対してでも。好奇心がなければプランも思いつかないし、たとえば康さんと酒場で会ってもさ、直接用事がなくても話にいくのよ。そうしたら康さんが全然関係ないことを何か言うじゃない? その話に今まで自分が持っている情報とか知識がビビッと触れあって、スクープに繋がることがあるわけ。だから週刊誌やる編集者は芸能でもスポーツでも政治でも経済でも、なんでも興味を持ってなければいけないんですよね。そこが週刊誌の独特の部分。“俺は経済なんて興味ない”じゃダメなんだよ」

「それを花ちゃんが今の編集長の体に、徹底的にすべて教え込んだわけだな」

「でも新谷は偉いですよ。彼は僕と違って、本来、滅茶苦茶な【酒飲み】なんです。だから酔っぱらった挙げ句のトラブルなんて若い頃にはあった。酔っぱらって湘南の海に入っちゃってさ、死にかけたこともあるくらいで(笑)。だけど編集長になった時に、“編集長の間は一切酒を飲まない”って宣言して、それから一切飲まないですよ。僕と飯食っている時も飲まない。よほど身に染みたのかもしれないけれどね(笑)」
(文・写真=福田光睦/Modern Freaks Inc.代表・@mitutika
https://twitter.com/mitutika

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■花田紀凱『WiLL』編集長、元『週刊文春』編集長
1942年東京生まれ。66年東京外国語大学英米科卒、文藝春秋入社。88年『週刊文春』編集長に就任。6年間の在任中、数々のスクープをものし、部数を51万部から76万部に伸ばして総合週刊誌のトップに。94年『マルコポーロ』編集長に就任。低迷していた同誌部数を5倍に伸ばしたが、95年「ナチガス室はなかった」の記事が問題となり辞任、1年後に退社。以後『uno!』『メンズウォーカー』『編集会議』などの編集長を歴任。2004年11月より『WiLL』編集長。今回、飛鳥新社に編集部員全員「電撃移籍」。編集長として月刊『HANADA』今月4月26日発売!テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍。産経新聞コラム「週刊誌ウォッチング」、夕刊フジコラム「天下の暴論」はファンも多い。好きなものは猫とコスモス。

●康芳夫(こう・よしお)
1937年東京生まれ。国際暗黒プロデューサー、虚業家、家畜人ヤプー全権代理人、全地球を睥睨するスフィンクス。4月よりMBS、TBSで放送される松田翔太主演の連続ドラマ「ディアスポリス 異邦警察」(TBS→12日より毎週放送。MBS→17日より毎週放送)、熊切和嘉監督映画「ディアスポリス 異邦警察」にも出演!稀代の怪優迷優に乞うご期待。
ディアスポリス公式サイト=http://www.dias-police.jp/
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Modern Freaks Inc.代表 地下編集者という名の荒野に棄てられた人間賛歌蒐集業。『Black Calendar』管理人 『下ー1グランプリ』『デスカルチャーサミット』『ヤリマン甲子園/ヤリマン五輪』主宰 『ネットで噂のヤバイニュース超真相』企画・監督 劇映画『YARIMAN HUNTER』準備中! 
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