【熊本地震】 あの木村名誉教授が明かした「次に警戒すべき場所」とは?

 4月14日21時26分、熊本地方でM6.5の地震が発生し、「平成28年 熊本地震」と命名された。その後も大きな余震が頻発したが、16日1時25分にはM7.3というさらに大きな地震が発生。M6.5は「前震」、M7.3が「本震」となった。果たして、これらの地震には前兆現象があり、発生を事前に予測していた人はいるのだろうか? また、今後の巨大地震や火山噴火につながる恐れは? これまで数多くの地震と火山噴火を予測・的中させてきた木村政昭琉球大学名誉教授へのインタビューも交えて、考察してみることにしよう。

【熊本地震】 あの木村名誉教授が明かした「次に警戒すべき場所」とは?の画像1画像は「YouTube」より引用

■想定内か? 想定外か?

 まず、最大震度7を記録した14日のM6.5の「前震」について考えてみる。2003年7月31日、政府の地震調査委員会は、熊本県長陽村から八代海南部まで延びる「布田川・日奈久断層帯」で地震が起きた場合、熊本市などで最大震度6強以上の強い揺れが予想されるとの評価結果を出していた。規模だけを見れば「想定内」だったように思えるが、そう言い切れない面もあった。

 それは前述のように、2日後さらに大規模なM7.3の「本震」が起きたためだ。また同日には、大分県でもM2~5クラスの地震が頻発するようになった。名古屋大学の鷺谷威(さぎやたけし)教授(地殻変動学)は、「今回のように、地震活動が飛び火して急激に拡大していく事態は、日本中の専門家にとっても未経験だ。本震、前震という通常の概念を定義として超えている」(東京新聞、2016年4月16日、夕刊)と語る。地震学者でさえも今後のことを予測できない事態ということで、さらなる大地震や火山噴火に繋がることが懸念される。


■前兆現象は起きていたか?

 熊本地震の前兆現象は起きていたのだろうか。まず、4月以降に九州でザトウクジラの出現が2件あった。1件目は先月4日午前9時30分ごろ、天草上島西端の熊本県天草市志柿町沖で定置網にかかった。クジラはすでに死んでいたという。また、先月8日の朝には、長崎県の海岸に打ち上げられた。クジラが迷い込んだり捕獲される場合、エサを追っていた、もしくはシャチなどの外敵から逃げていたなどの理由が考えられる。しかし、クジラに備わる超音波探知による方向感覚が、たとえば地震の前兆として発生するパルス電磁波によって撹乱されることも、可能性としてはあり得るだろう。

 また、地震雲のような雲も出現していた。前震の1週間ほど前、4月6日に大分県宇佐市の米神山の山頂近くで撮影された写真を見てほしい。波のような雲が放射状に出現しているが、この方角が熊本県や大分県の震源地であれば、今回の地震と関係があるのかもしれない。

■地震を予測していた研究者は?

 多くのマスコミは取り上げていないが、実は今回の熊本地震を予測していた台湾の研究者がいた。過去の記事で紹介した、台湾・地震預測研究所の林湧森氏だ。林氏は3月30日に自身のブログ上で、「4月13日までに日本中部・南部(東京・大阪以南)でM7の大きな地震」が起きると警告していた。上海とロサンゼルス在住の共同研究者がおり、さまざまなデータを林氏に送ってきたという。

 また今月9日には、上海の研究者が「3日以内に南日本でM6.3の地震」と予測しており、さらに11日には、ロサンゼルスの研究者が「4月17日18時に南日本でM6+の地震」と予測していた。後者は16日の「本震」に対応するものかもしれない。

 ちなみに前述の林氏は、大気電圧の変化を計測することにより地震予知を行っているが、日本でも協力者を探している。日本で共同研究者を見つけたら、日本周辺の地震予測の精度がさらに向上するだろう。測定方法などは林氏が指導するとのことなので、関心がある方は林氏のブログ経由で連絡していただきたい。英語も堪能な人物だ。


■「中央構造線」や「南海トラフ」での巨大地震に要注意

 16日に起きたM7.3の本震は、「布田川断層帯」が横ずれした結果発生した地震だった。この断層帯は、西日本から中部・関東地方を横断し、茨城県の太平洋岸に至る日本最大の断層帯である「中央構造線」に連なっている。多くの研究者は、熊本地震が一過性の地震ではないと指摘する。尾池和夫・京都造形芸術大学学長(地震学)は、「紀伊半島や四国の北部を通る中央構造線断層帯での地震の発生にも警戒が必要だ」(産経WEST、2016年4月15日)としており、今後も中央構造線上で大地震が発生する恐れを示唆している。

 中央構造線では、少なくとも過去に5回の大地震が起きている。中でも1596年の「慶長大地震」は、中央構造線に沿って起きた一連の大地震だった。現在の愛媛県で起きた「慶長伊予地震」(M7前後)、その3日後に現在の大分県で「慶長豊後地震」(M7+)、さらにその翌日には現在の京都府で「慶長伏見地震」(M7前後)と、大地震が連発した。このような地震の連鎖が、再度襲ってくる可能性も考えなければならないだろう。

 そして熊本地震が、「南海トラフ地震」の発生に影響を与える可能性を示唆する学者たちも少なくない。梅田康弘・京都大学名誉教授は、「過去の事例でも、南海トラフ地震の前には、前兆のように内陸地震が活発化している」(産経WEST、同上)と指摘しているのだ。

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